アメリカの統治の仕組みを理解するにあたっては、アメリカ合衆国の主権が縦(三権分立)と横(連邦制)に分権されていると考えるのがよい。
縦割りの三権分立はアメリカ連邦憲法に基づいており、「執行府(大統領)」、「立法府」、「司法府」のことを指す。立法府はさらに上院と下院に分権されており、原則として、法律の成立には行政府のトップである大統領の承認も必要であるが、大統領は「法律」ではないが法的拘束力を持つ大統領令を発することができる。また、司法府は独立性が高く、頻繁に法律が違憲であると判断する。よって、アメリカの三権分立は日本より徹底していると考えられるが、大統領には恩赦権限のような絶対的権限もある。なお、憲法上、「行政」は「執行府」と異なることに注意されたい。
横割りの連邦制は、連邦政府と州政府のことを指す。各州に憲法があり、連邦政府レベルと同様の統治の仕組み(「行政府(知事)」、「立法府(上院と下院)」、「司法府」)が存在する。日本の自治体は国から一定の独立性を保証されているが、アメリカでは州の独立性がより徹底しており、原則として、連邦政府と州政府のいずれにも主権がある。たとえば、どの州も独自の州憲法を策定しており、各州が軍勢を維持している。基本、連邦政府の法律や権力が州のに優先されるのは、双方が矛盾する場合のみである。
三権分立と連邦制の関係を図で表すと以下のようになる。
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