現地時間の7月21日(日)にジョウ・バイデン大統領が大統領選から撤退し、カマラ・ハリス副大統領がバイデンの代わの候補になることが確実になってから1週間経った。早速ハリス対トランプの世論調査が出てきているので、ここでは7月27日時点の世論調査を下にハリスへの交代が民主党にとってプラスに働いているかを解説する。なお、7月13日時点の世論調査の分析はこちらを参照されたい。
今回の大統領選で注目されている州はどこ?
おさらいとなるが、アメリカの大統領選で勝利するためには、各州とワシントン首都(Washington, D.C.)に割り当てられている「選挙人」の過半数を獲得する必要がある。
もっとも、大統領選の行方を決めるのは共和党と民主党の支持が拮抗してる「激戦州」であることから、ここでは次の地図にある7つの「激戦州」(水色)を中心に、その他6つの「注目の州」(オレンジ色)にも触れながら解説していく。(数字は当該州に割り当てられている「選挙人」の数)
これら州を激戦州と注目の州に選んだ背景については、こちらで解説している2024年大統領選の見どころを参照されたい。なお、バイデンからハリスに交代しても、注目すべき州は変わらない。
【激戦州】
- ジョージア州(Georgia)
- アリゾナ州(Arizona)
- ウィスコンシン州(Wisconsin)
- ペンシルベニア州(Pennsylvania)
- ノースカロライナ州(North Carolina)
- ネバダ州(Nevada)
- ミシガン州(Michigan)
【注目の州】
直近の世論調査はどんな感じなの?
アメリカの世論調査では生データが公開され、リアル・クリア・ポリティクス(Real Clear Politics(RCP))と呼ばれるサイトが大半の世論調査の平均の推移を追っている。
既に一部の「激戦州」でバイデン撤退後のハリス対トランプの世論調査が公表されているので、撤退時点のバイデンの数字と比較しながら見てみよう。
なお、ハリス対トランプの平均はバイデンが撤退した7月21日以降に実施された調査のみを考慮している。また、「注目の州」の世論調査は乏しいので、今回は解説を割愛する。
7月27日時点の ハリス対トランプ | 撤退時点の バイデン対トランプ | 2020年の結果 | |
ジョージア州 | 1.5%のトランプのリード | 4.0%のトランプのリード | 0.23%のバイデンの勝利 |
アリゾナ州 | 5.0%のトランプのリード | 5.8%のトランプのリード | 0.31%のバイデンの勝利 |
ウィスコンシン州 | 0.5%のトランプのリード | 3.3%のトランプのリード | 0.63%のバイデンの勝利 |
ペンシルベニア州 | 1.0%のトランプのリード | 4.5%のトランプのリード | 1.16%のバイデンの勝利 |
ノースカロライナ州 | 該当する世論調査無し | 5.7%のトランプのリード | 1.35%のトランプの勝 |
ネバダ州 | 該当する世論調査無し | 5.6%のトランプのリード | 2.39%のバイデンの勝利 |
ミシガン州 | 0.5%のトランプのリード | 2.1%のトランプのリード | 2.78%のバイデンの勝利 |
現状の世論調査を踏まえると、バイデンよりハリスの方が健闘してると言えるの?
どの州も多くて2つしか世論調査がなく、どれも許容誤差の範囲内なので言い切れない(言い切るべきではない)が、バイデン撤退後の世論調査が公表されている5つの州すべてでハリスがトランプとの差を(場合によっては大幅に)縮めていることは注目に値する。
全国的な世論調査はどうなの?
州レベルでの世論調査の数が乏しいので、10以上公表されてる全国的な世論調査も見てみよう。
バイデンが撤退した時点で、バイデンはトランプに平均3.1%リードされていた。それに対してハリスは、7月27日時点でトランプに平均1.6%リードされている。(バイデンが撤退した7月21日以降に実施された世論調査のみ考慮)。
全国的な世論調査はより多くの有権者を調査の対象にしているので、州レベルの調査より確度が高い。ハリスに代わったことでトランプとの差が縮まった確率は高そうだ。
なお、民主党はカリフォルニア州やニューヨーク州など人口の多い州で圧勝することから、州レベルで競われる大統領選では勝敗に貢献しない無駄な票を多く発生させる。したがって、ハリスは全国的にトランプに数ポイントリードしていないと、州レベルの戦いで確実に負ける。
実際、2020年の大統領選で勝利したバイデンは、全国的の得票率でトランプを4.5%上回ったが、複数の激戦州で1%前後の接戦を制することでなんとか当選してる。