2020年大統領選を各州ごとに解析

2020年大統領選を各州ごとに解析

2020年大統領選を時系列で解析していく。

基本のおさらい

  1. 米国大統領選に勝利するには、各州に割り当てられた538人の「選挙人」の過半数、すなわち270人を獲得する必要がある
  2. 選挙人の行方はそれぞれの州における投票結果によって決まる
  3. どの州も原則「勝者独り占め」方式を採用しているため、得票数が最も多い候補がその州の選挙人を総取りする
  4. 投票の終了時間は州が定める。開票は投票が終了次第開始される。当確は州毎に打たれる
  5. 一般論として、開票は地方が早く、都市部が遅い
  6. 一般論として、共和党は地方で強く、民主党は都市部で強い
  7. 一般論として、共和党の支持者は(特に大卒ではない)白人であり、民主党の支持者は(黒人やヒスパニック系等の)人種的マイノリティーである
  8. 一般論として、期日前投票(郵便投票)は民主党支持者に多く、当日投票は共和党支持者に多いとされる
  9. 一般論として、共和党候補は開票が遅い地域で得票が少ないので、開票の初期にリードしていないと、民主党候補に追いつかれる(ただし、郵送された投票紙を事前に集計し投票終了と共に結果を報告する州はそうとも言えない)
  10. 一般論として、ある州で見られる現象・傾向(共和党の白人の票の得票率が異常に高い、都市部の黒人の投票率が低い、など)は、他の州でも見られる
  11. 現実的に考えると、トランプ大統領が再選するには、ペンシルバニア州またはミシガン州での勝利が必要(同じく注目されているウィスコンシン州だけでは不十分)
  12. 最大の不確定要素はコロナであり、例えば、コロナの影響で多くの州が郵便での投票を認めており、ミシガン州やペンシルバニア州などは郵送される投票紙を集計するのに時間を要すると発表している

それでは、投票終了時間ごとに各州を解析していこう。時間は全て11月4日(水)の日本時間。カッコ内の数字はその州の選挙人の数。

9時00分

ジョージア州(16)、インディアナ州(11)、ケンタッキー州(8)、サウスカロライナ州(9)、バージニア州(13)、バーモント州(3)

(1)インディアナ州、ケンタッキー州、サウスカロライナ州はいずれも共和党の牙城。2008年に共和党候補だったジョン・マケインは、インディアナ州で直ちに当確が出ず、結局惨敗

(2)バーモント州は民主党の牙城

(3)ジョージア州はトランプが勝利すべき州である一方で、世論調査によるとバイデンにとって手が届く州。ここでバイデンが勝利すれば、彼の地滑り的勝利が想定される

(4)バージニア州はバイデンが安定した勝利を収めるべき州。4年前、開票開始から3時間経ってもここで当確が出なかったことが、クリントン苦戦の前兆だった

9時30分

ノースカロライナ州(15)、オハイオ州(18)、ウエスト・バージニア州(5)

(1)ウエスト・バージニア州は共和党の牙城

(2)ノースカロライナ州は共和党寄りのいわゆる「スウィングステイト」(激戦州)。トランプがこの州を落とすということは、全国的に苦戦している

(3)オハイオ州はトランプにとって落とせない州。白人労働者が多いというだけでなく、歴史的にも、オハイオ州で勝利せずに大統領になれた共和党候補はいない

10時00分

アラバマ州(9)、コネチカット州(7)、デラウェア州(3)、フロリダ州(29)、イリノイ州(20)、メイン州(4)、マリーランド州(10)、マサチューセッツ州(11)、ミシシッピ州(6)、ミズーリ州(10)、ニューハンプシャー州(4)、ニュージャージー州(14)、オクラホマ州(7)、ペンシルベニア州(20)、ロードアイランド州(4)、テネシー州(11)、ワシントンD.C.(3)

(1)アラバマ州、ミシシッピ州、ミズーリ州、オクラホマ州およびテネシー州は共和党の牙城

(2)コネチカット州、デラウェア州、イリノイ州、マリーランド州、マサチューセッツ州、ニュージャージー州、ロードアイランド州およびワシントンD.C.は民主党の牙城

(3)メイン州、ニューハンプシャー州は「スウィングステイト」に含まれるものの、バイデンに有利。これら州で拮抗している場合、トランプが善戦

(4)フロリダ州は毎回拮抗する激戦州。バイデンは、人口が集中している南部のマイアミ・デイド郡 ブロワード郡 およびパームビーチ郡でトランプを圧倒する必要がある。反対にトランプは、白人が多い中部のポーク郡およびレイク郡でどこまで票を伸ばせるか。4年前は、早い段階でこれら地域でトランプが善戦していることが明らかになり、クリントンにとって、その後開票されるウィスコンシン州およびミシガン州について危険信号が灯った

(5)ペンシルベニア州でトランプが勝利できれば、再選確実。ここは、前回トランプが勝利するまで、30年近く共和党の候補が勝てなかった州。注目すべきはエリー郡 およびルザーン郡 。いずれも白人労働者が多く、2012年にオバマ大統領が勝利したものの、2016年にトランプがひっくり返した地域。なお、バイデンはエリー郡育ちなので、そこでは勝利を収めることが想定される

10時30分

アーカンソー州(6)

共和党の牙城

11時00分

アリゾナ州(11)、コロラド州(9)、カンザス州(6)、ルイジアナ州(8)、ミシガン州(16)、ミネソタ州(10)、ネブラスカ州(5)、ニューメキシコ州(5)、ニューヨーク州(29)、ノースダコタ州(3)、サウスダコタ州(3)、テキサス州(36)、ウィスコンシン州(10)、ワイオミング州(3)

(1)カンザス州、ルイジアナ州、ネブラスカ州、ノースダコタ州、サウスダコタ州およびワイオミング州は共和党の牙城

(2)ミネソタ州およびニューヨーク州は民主党の牙城だが、前回は白人が多いミネソタ州でクリントンが追い上げられていおり、今回も接戦の兆しが

(3)アリゾナ州は従来共和党に有利。しかし、昨今ヒスパニック系の人口が増えており、世論調査ではバイデンがリードとも。バイデンがここで勝利を収めれば、彼の勝利は確実

(4)コロラド州およびニューメキシコ州はバイデンに有利。ここで拮抗している場合、トランプが健闘

(5)テキサス州は従来から共和党の牙城だが、下馬評ではバイデンが追い上げているとも。ここで拮抗している場合、バイデンの地滑り的勝利の可能性が高い

(6)ミシガン州およびウィスコンシン州は、2016年にトランプが勝利するまで30年間共和党の候補が勝利できなかった州であり、民主党寄り。注目すべきは、マコーム郡(ミシガン州)サギノー郡 (ミシガン州)ウィネベーゴ郡 (ウィスコンシン州)ラシーン郡 (ウィスコンシン州)およびケノーシャ郡 (ウィスコンシン州)。いずれも白人労働者が多く、2012年にオバマ大統領が勝利したものの、2016年にトランプが勝利した地域

12時00分

アイオワ州(6)、モンタナ州(3)、ネバダ州(6)、ユタ州(6)

(1)モンタナ州およびユタ州は共和党の牙城

(2)ネバダ州は民主党に有利。ここで拮抗していれば、トランプが善戦

(3)アイオワ州は激戦州だが、白人が多いため、トランプが勝利すべき州。ここで拮抗していると、バイデンが健闘

13時00分

カリフォルニア州(55)、アイダホ州(4)、オレゴン州(7)、ワシントン州(8)

(1)カリフォルニア州、オレゴン州およびワシントン州は民主党の牙城

(2)アイダホ州は共和党の牙城

14時00分

ハワイ州(3)

ハワイ州は民主党の牙城

15時00分

アラスカ州(3)

アラスカ州は共和党の牙城

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