民主党副大統領候補のティム・ワルツと共和党副大統領候補のJ・D・バンスの討論会が現地時間の10月1日(火)に開催された。ここでは、なぜワルツが”敗北”しバンスのイメージが回復されたと思われているのかに加え、大統領選への影響について解説していく。なお、討論会の背景についてはこちらを参照されたい。
ワルツとバンスの討論会での出来はどうだったの?
ワルツは特に序盤で明らかに緊張しており、六四天安門事件が起きた時に香港にいたという過去の発言が事実と反することへの釈明はまったくとりとめのないものだった。ただ、最後のやりとりで、ドナルド・トランプが2020年の大統領選で敗北したことをバンスが認めないことを引き出したのはハイライトだった。
他方のバンスは、過去の発言から「変人」や「気味が悪い」イメージが定着しつつあったが、討論会中、ワルツの息子が射撃事件の目撃者だったことに同情を示したり、度々ワルツに賛同したりするなど、これまでが嘘のように好印象を残した。また、トランプと異なり、バイデン政権の政策に対するハリスの現職副大統領としての責任を追及することにも成功した。
ハキハキしているバンスに対しワルツは口ごもりが目立ったので、評論家の間や下馬評ではバンスが”勝利した”と考えられている。
視聴者は討論会をどう受け止めたの?
討論会の視聴者数は4320万人だった。ハリスとトランプの討論会の6710万人に遠く及ばず、2020年の副大統領候補の討論会より1470万人も少なかった。(いずれの数字にもストリーミング等は含まれておらず)
今回の討論会は驚くほど礼儀正しかった、というのが一番強い印象だろう。トランプが参加する討論会は個人的な攻撃が多い秩序のない言い合いになるので、政策中心の大人の討論会は新鮮だった。
司会者の進行はどうだったの?
ハリスとトランプの討論会ではトランプの発言を度々訂正した司会者の進行が物議を醸したが、この討論会では司会者が最初にバンスの発言を訂正しようとしたところバンスが反発したので、それ以降、司会者によるあからさまな訂正はなくなり従来の討論会に近い進行となった。
結局、この討論会は大統領選にどのような影響がありそうなの?
過去に副大統領候補の討論会が大統領選に影響を及ぼしたことは一度もなく、今回も同じだろう。
ただ、今回の討論会でバンスの好感度が上がったことは間違いなく、ハリス批判もトランプより効果的だったことから、今後バンスのテレビ出演が増えるかもしれない。