アメリカの各州は、原則として、連邦議会と同様に上院と下院の二院制を用いている。ここでは一般的な州議会の仕組みについて解説していく。
州議会の構成
ネブラスカ州を除いて、アメリカの各州の州議会は上院と下院から構成されている。ネブラスカ州は20世紀前半に住民投票の結果に基づいて一院制に変えている。
どの州でも上院より下院の方が議員数が多い。言い方を変えると、下院議員の方が有権者の数が少ない。これは連邦議会と同じである。
州議員の任期は何年?
州によって異なる上、多くの場合は下院と上院でも異なる。
① 州下院議員
- 大半の州では、連邦下院議員と同じ2年
- 少数の州では4年
② 州上院議員
- 多くの州では4年
- 少数の州では、アメリカ連邦憲法で求められている10年ごとの人口調査に合わせて選挙区を再編できるよう、任期を4年-4年-2年のサイクルにしている
- 一定数の州では、州下院議員と同じ2年
- いずれにせよ、どの州でも州上院議員の任期は連邦上院議員の6年より短い
任期回数の制限を設けている州は一定数しかない。
被選挙権の要件は州が独自に定めるが、どの州も一定の期間、州か選挙区の住民であることを要件にしている。
州議会の選挙制度はどうなってるの?
どの州でも、州の住民が直接選挙で州議員を選ぶ。
大半の州では、州下院選も州上院選も定数1の小選挙区制。下院と上院で議員数が異なるので、この場合、州下院選と州上院選では選挙区が異なる。
一定数の州では、州下院選と州上院選で同一の選挙区を用いている。この場合、基本的には下院選の定数が2で上院選の定数が1となる。なお、定数2以上でも候補1人にしか投票できない日本の単記非移譲式投票制と異なり、アメリカでは定数人数分の候補に投票できる。
また、州下院選のみならず、州上院選でも選挙区の区割りは人口に比例する必要がある。これは連邦最高裁の判決により求められており、著しい一票の格差がある連邦上院選とは大きく異なる。
州上院・州下院特有の権限とは?
州によるが、連邦議会と類似している場合が多い。
① 多くの州下院が有する特有の権限
- 州予算に関する法案の先議権(上院に対する優越権ではない)
- 知事、副知事、州裁判官などを過半数の採決で弾劾訴追する権限
② 多くの州上院が有する特有の権限
- 知事が任命する内閣や州裁判官などを承認する権限
- 下院で弾劾訴追された知事、副知事、州裁判官などを有罪とし罷免する権限
また、複数の州では、州上院の議長が実質的な副知事の役割を担っている場合がある。
州議会議員の欠員が生じるとどうなるの?
州によるが、約半数の州では補選が実施される。知事が後任を任命する州も多い。