トランプとバイデンの再対決〜歴史的な珍しさ〜

トランプとバイデンの再対決〜歴史的な珍しさ〜

2024年の大統領選はトランプ前大統領とバイデン現大統領の再対決。そして、トランプにとっては3回連続の党の候補指名。いずれも極めて珍しいことなので、過去にあった再対決と連続指名候補の例を解説する。

過去に同じようなことが起こったことはあるの?

1度だけ、1884年、1888年、1892年の大統領選で、”3回連続候補指名”および”再対決”が起こったことがある。

1884年、民主党のグロバー・クリーブランド(Grover Cleveland)ニューヨーク州知事が大統領に当選し、4年後の再選のチャレンジで共和党のベンジャミン・ハリソンに敗北。しかし、クリーブランドは4年後に改めて民主党の指名候補となり、ハリソンの再選を阻止して大統領に復帰した。

現時点で返り咲きを果たせた大統領はクリーブランドしかいないので、トランプが2024年の大統領選で当選できれば、130年ぶり2人目となる。

再対決は、過去に何回起こっているの?

現行の大統領選の仕組みと現代の二大政党制の下での再対決は次の通り3回起こっているので、バイデン対トランプは4度目。

  1. ドワイト・D・アイゼンハワー(Dwight D. Eisenhower)対アドレー・スティーブンソン2世(Adlai Stevenson II)(1952年と1956年)〜第二次世界大戦で連合国遠征軍最高司令官を務めたアイゼンハワーは1952年に共和党の大統領指名候補となり、イリノイ知事だったスティーブンソンに勝利。4年後の再対決では、アイゼンハワーが差を広げて再選
  2. ウィリアム・マッキンリー(William McKinley)対ウィリアム・ジェニングス・ブライアン(William Jennings Bryan)(1896年と1900年)〜元オハイオ州知事で共和党のマッキンリーは、左派ポピュリズムの筆頭で雄弁な演説家だった民主党のブライアン連邦下院議員に勝利。4年後の再対決では、マッキンリーが差を広げて再選
  3. グロバー・クリーブランド対ベンジャミン・ハリソン(1888年と1892年)

なお、他にも以下のような”再対決”があったが、候補が乱立した選挙だったため、純粋な再対決ではなかった。

  • マーティン・ヴァン・ビューレン(Martin Van Buren)対ウィリアム・ヘンリー・ハリソン(William Henry Harrison) (1836年と1840年)〜1836年の大統領選では、民主党のビューレン副大統領に対して、発足したばかりのホイッグ党からハリソンを含んだ4名が出馬。結果、ホイッグ党の票が分散しビューレンが当選したが、4年後にはハリソンがホイッグ党の統一候補となり、”再対決”でビューレン大統領の再選を阻止
  • ジョン・クインシー・アダムズ(John Quincy Adams)対アンドリュー・ジャクソン(Andrew Jackson)(1824年と1828年)〜1824年の大統領選では、連邦党が消滅し唯一の政党となった民主共和党からアダムズとジャクソンを含んだ4名が出馬し、アダムズが連邦下院での採決により大統領に就任した。4年後には民主共和党が解体し、新たに発足した民主党のジャクソンが、同じく新たに発足した国民共和党のアダムズ大統領の再選を阻止
  • ジョン・アダムズ(John Adams)対トーマス・ジェファソン(Thomas Jefferson)(1796年と1800年)〜1796年の大統領選で連邦党のアダムズ副大統領が民主共和党のジェファソン国務長官に勝利し、4年後の”再対決”でジェファソン副大統領がアダムズ大統領を破った。当時の大統領選の仕組みでは、”選挙人”の投票で1位になった候補が大統領、2位になった候補が副大統領に就任することになっていたため、現在とは比較しがたい。

党の指名を3回以上受けた候補は何人いるの?

現代の二大政党制の下では次の通り4人いるため、トランプは5人目。

  1. リチャード・ニクソン(Richard Nixon)〜1960年に共和党の指名候補として僅差で民主党のジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)に敗北したものの、1968年に共和党の指名候補に返り咲きして当選し、1972年に再選
  2. フランクリン・D・ルーズベルト(Franklin D. Roosevelt)〜1932年、1936年、1940年、1944年に4回連続民主党の指名候補となり、全勝
  3. ウィリアム・ジェニングス・ブライアン〜1896年と1900年にマッキンリーに連敗した他、1908年にも民主党の指名候補となっているが、この選挙では大敗
  4. グロバー・クリーブランド〜上述の通り、1884年に勝利、1888年に敗北、1892年に勝利

それ以前では、”再対決”で勝利したアンドリュー・ジャクソンおよびトーマス・ジェファソンが4年後に再選できているので、彼らは最初の敗北も含めると3回候補だったことになる。

また、ヘンリー・クレイ(Henry Clay)は、1832年の国民共和党の指名候補、1844年のホイッグ党の指名候補になった他、1824年も4人いた民主共和党の候補の1人だったため、合計3回候補だったと言える。

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