現地時間の2024年3月5日(火)(日本時間の3月6日)、いわゆるスーパー・チューズデー(Super Tuesday)に、15の州で共和党および民主党の予備選が開票された。ここでは主に共和党の予備選の開票結果を解説する。事前の予想については、この記事を参照。
各州の投票結果は?
赤色がトランプが勝利した州、ピンク色がヘイリーが勝利した州
州 | ドナルド・トランプ | ニッキー・ヘイリー | 開票率 |
アラバマ州(Alabama) | 497,889(83.2%) | 77,586(13.0%) | 92% |
アラスカ州(Alaska) | 9,243(87.6%) | 1,266(12.0%) | 96% |
アーカンソー州(Arkansas) | 202,889(76.8%) | 48,779(18.5%) | 75% |
カリフォルニア州(California) | 1,081,736(78.6) | 246,325(17.9%) | 61% |
コロラド州(Colorado) | 517,884(63.3%) | 273,809(33.4%) | 91% |
メイン州(Maine) | 65,343(70.9%) | 24,306(26.3%) | 66% |
マサチューセッツ州(Massachusetts) | 316,190(59.8%) | 193,790(36.7%) | 88% |
ミネソタ州(Minnesota) | 232,925(69.0%) | 97,229(28.8%) | 94% |
ノースカロライナ州(North Carolina) | 790,751(73.9%) | 249,651(23.3%) | 97% |
オクラホマ州(Oklahoma) | 254,688(81.8%) | 49,373(15.9%) | 97% |
テネシー州(Tennessee) | 446,712(77.3%) | 112,921(19.5%) | 89% |
テキサス州(Texas) | 1,808,947(77.9%) | 404,209(17.4%) | 99% |
ユタ州(Utah) | 42,580(57.0%) | 31,383(42.0%) | 75% |
バーモント州(Vermont) | 33,178(45.9%) | 36,291(50.2%) | 96% |
バージニア州(Virginia) | 435,915(63.1%) | 241,017(34.9%) | 95% |
この結果はどう解釈すればいいの?
トランプが独走している中、注目されていたのはトランプが”現職大統領並みの強さ”を発揮できるかであったが、投票結果は決してそう結論付けできるものではなかった。
まず、トランプはバーモント州でヘイリーに屈した。当州はヘイリーの勝利の可能性が最も高い州であったとはいえ、(バイデン大統領が民主党側での予備選で示した通り)現職大統領はいくら人気がなくても相当なことがない限り予備選で負けない。
(直近で現職大統領でありながら予備選において敗北を許したのは、1980年の民主党大統領指名候補争いで、ジョン・F・ケネディ(John F Kennedy)の弟して知名度が抜群だったエドワード・ケネディ相手に12州の予備選で負けたジミー・カーターである)
さらに、まだ開票が終了していない時点ではあるが、トランプの得票率はマサチューセッツ州とユタ州で50%台に、コロラド州、ミネソタ州およびバージニア州で60%台に留まった。バーモント州を含めると1/3以上の州で7割超の大台に乗れなかったことになる。
もっとも、大半の州で投票時間終了と共にトランプに当確が打てたほどヘイリーに競争力がなかったのは事実であり、ヘイリーはスーパー・チューズデーの翌日に撤退を表明した。
これを以てトランプは名実共に共和党の指名候補となったが、まったくもって盛り上がりに欠ける共和党大統領指名候補争いだった。
結果から見えるトランプの弱みは?
トランプが苦戦したマサチューセッツ州、コロラド州、ミネソタ州およびバージニア州に共通しているのは、どの州にもボストン市、デンバー市、ミネアポリス市、リッチモンド市といった大都市があることだ。カリフォルニア州やノースカロライナ州にもロスアンゼルス市やシャーロット市がありつつトランプが圧勝したのは事実であるものの、スーパー・チューズデーの結果によりトランプは都市郊外で票が伸びないことが改めて証明された。
11月の本選挙では都市郊外が極めて重要な票となるので、トランプとしては懸念材料が残る結果となった。
指名争いに決着がつき、次は何に注目すればいいの?
この先6月まで残りの州で予備選・党員集会が実施されていくが、ヘイリーが撤退した今となっては、これらは形式的な手続きに過ぎない。
よって、次はトランプが誰を副大統領候補に指名するかに関心が移る。副大統領指名候補は7月15日に開催される共和党の党大会で正式に任命されるが、その数週間前に大統領指名候補が副大統領候補を指名するのが慣習である。
副大統領指名候補の予測については、こちらで解説している。
ちなみに、民主党の予備選の投票結果はどうだったの?
民主党側では、共和党側で予備選が実施さた15州のうちアラスカ州を除いた14の州に加えてアイオワ州でも予備選が実施された。
民主党の大統領指名候補争いには泡沫候補しか参入していないので、注目されていたのは民主党の党員の間で「バイデン忌避」の兆候があるかだった。
結論から言うと、あった。
まだ開票が終了していない時点ではあるが、各州におけるバイデンの得票率は次のとおり。
- アラバマ州(Alabama)〜89.5%
- アーカンソー州(Arkansas)〜88.5%
- カリフォルニア州(California)〜89.2%
- コロラド州(Colorado)〜83.6%
- アイオワ州(Iowa)〜90.9%
- メイン州(Maine)〜89.5%
- マサチューセッツ州(Massachusetts)〜81.3%
- ミネソタ州(Minnesota)〜70.0%
- ノースカロライナ州(North Carolina)〜87.3%
- オクラホマ州(Oklahoma)〜73.0%
- テネシー州(Tennessee)〜91.9%
- テキサス州(Texas)〜84.6%
- ユタ州(Utah)〜87.5%
- バーモント州(Vermont)〜88.0%
- バージニア州(Virginia)〜88.7%
出典〜CNN
バイデンの得票率はミネソタ州とオクラホマ州で70%台、マサチューセッツ州でギリギリ80%台と、複数の州で危険信号が灯る結果だった。これはイスラエルとガザの間の戦争に対するバイデンの対応への不満の表れであると言われているが、いずれにせよ、バイデンにとってもスーパー・チューズデーの結果には不安材料が残った。