現地時間の11月5日(火)の投票日まで2週間。ここでは、10月23時点での世論調査によるとハリスの下落が続いていることを解説する。なお、10月16日時点の世論調査の分析はこちらを参照されたい。
今回の大統領選で注目されている州はどこ?
おさらいとなるが、アメリカの大統領選で勝利するためには、各州とワシントン首都(Washington, D.C.)に割り当てられている「選挙人」の過半数を獲得する必要がある。
もっとも、大統領選の行方を決めるのは共和党と民主党の支持が拮抗してる「激戦州」であることから、ここでは次の地図にある7つの「激戦州」(水色)を中心に、その他6つの「注目の州」(オレンジ色)にも触れながら解説していく。(数字は当該州に割り当てられている「選挙人」の数)
これら州を激戦州と注目の州に選んだ背景については、こちらのハリスにとっての2つの勝利への道の解説を参照されたい。
【激戦州】
- ジョージア州(Georgia)
- アリゾナ州(Arizona)
- ウィスコンシン州(Wisconsin)
- ペンシルベニア州(Pennsylvania)
- ノースカロライナ州(North Carolina)
- ネバダ州(Nevada)
- ミシガン州(Michigan)
【注目の州】
直近の世論調査はどんな感じなの?
アメリカの世論調査では生データが公開され、リアル・クリア・ポリティクス(Real Clear Politics(RCP))と呼ばれるサイトが大半の世論調査の平均の推移を追っている。
すべての「激戦州」におけるハリス対トランプの平均を10月16日時点の平均と比較してみよう。
10月23日時点 | 10月16日時点 | 2020年の結果 | |
ジョージア州 | 2.5%のトランプのリード | 0.7%のトランプのリード | 0.23%のバイデンの勝利 |
アリゾナ州 | 1.8%のトランプのリード | 1.1%のトランプのリード | 0.31%のバイデンの勝利 |
ウィスコンシン州 | 0.4%のトランプのリード | 0.3%のハリスのリード | 0.63%のバイデンの勝利 |
ペンシルベニア州 | 0.8%のトランプのリード | 0.3%のトランプのリード | 1.16%のバイデンの勝利 |
ノースカロライナ州 | 0.4%のトランプのリード | 1.4%のトランプのリード | 1.35%のトランプの勝 |
ネバダ州 | 0.9%のトランプのリード | 0.5%のトランプのリード | 2.39%のバイデンの勝利 |
ミシガン州 | 1.2%のトランプのリード | 0.9%のトランプのリード | 2.78%のバイデンの勝利 |
「注目の州」の世論調査の平均も10月16日時点の平均と比較してみよう。
10月23日時点 | 10月16日時点 | 2020年の結果 | |
フロリダ州 | 7.8%のトランプのリード | 6.1%のトランプのリード | 3.36%のトランプの勝利 |
テキサス州 | 5.7%のトランプのリード | 5.8%のトランプのリード | 5.58%のトランプの勝利 |
ミネソタ州 | 4.7%のハリスのリード | 4.7%のハリスのリード | 7.11%のバイデンの勝利 |
ニューハンプシャー州 | 7.8%のハリスのリード | 7.4%のハリスのリード | 7.35%のバイデンの勝利 |
オハイオ州 | 7.0%のトランプのリード | 7.4%のトランプのリード | 8.03%のトランプの勝利 |
アイオワ州 | 4.0%のトランプのリード | 4.0%のトランプのリード | 8.20%のトランプの勝利 |
現状の世論調査はどう解釈すればいいの?
前回10月16日と比べると、ノースカロライナ州以外すべてでトランプ寄りに変動した。また、ウィスコンシン州でトランプがハリスからリードを奪ったことから、すべての州でトランプがリードしている。
各州の世論調査の詳細を見ると、大半の州でトランプがリードしている世論調査の方がハリスがリードしている調査より多い。許容誤差を考慮するとトランプのリードは統計的に有意ではないものの、トランプの勝利の可能性は確実に高まっている。
「注目の州」の世論調査では大きな動きがなく、概ね想定どおりだ。
全国的な世論調査はどうなの?
全国的な世論調査は、より多くの有権者を調査の対象にしていることから州レベルの調査より確度が高いため、こちらも見てみる。
10月23日時点の平均でハリスはトランプを全国的に0.9%リードしており、10月16日時点の1.3%のリードから縮小している。
許容誤差はさておき、2%を下回っていることは大きい。こちらで解説した通り、全国的得票率が0.9%のリードだとハリスの敗北は濃厚だ。
2020年と2016年の同日時点と比較すると、今回の選挙の現状はどうなの?
トランプにとって今回の大統領選は3回連続の出馬。現在の世論調査の平均を2020年と2016年の大統領選における10月23日時点の平均と比較すると、次のようになる。
(なお、2024年の投票日は現地時間の11月5日、2020年は11月3日、2020年は11月8日だったので、10月23日から投票日までの日数は異なる)
2024年 | 2020年 | 2016年 | |
全国 | 0.9%のハリスのリード | 7.9%のバイデンのリード (結果〜4.46%のバイデンの勝利) | 6.1%のクリントンのリード (結果〜2.09%のクリントンの勝利) |
ジョージア州 | 2.5%のトランプのリード | 0.8%のバイデンのリード (結果〜0.23%のバイデンの勝利) | 4.0%のトランプのリード (結果〜5.13%のトランプの勝利) |
アリゾナ州 | 1.8%のトランプのリード | 3.2%のバイデンのリード (結果〜0.31%のバイデンの勝利) | 1.5%のクリントンのリード (結果〜3.50%のトランプの勝利) |
ウィスコンシン州 | 0.4%のトランプのリード | 4.6%のバイデンのリード (結果〜0.63%のバイデンの勝利) | 6.5%のクリントンのリード (結果〜0.77%のトランプの勝利) |
ペンシルベニア州 | 0.8%のトランプのリード | 4.9%のバイデンのリード (結果〜1.16%のバイデンの勝利) | 6.2%のクリントンのリード (結果〜0.72%のトランプの勝利) |
ノースカロライナ州 | 0.4%のトランプのリード | 1.8%のバイデンのリード (結果〜1.35%のトランプの勝) | 2.9%のクリントンのリード (結果〜3.66%のトランプの勝利) |
ネバダ州 | 0.9%のトランプのリード | 5.2%のバイデンのリード (結果〜2.39%のバイデンの勝利) | 4.7%のクリントンのリード (結果〜2.42%のクリントンの勝利) |
ミシガン州 | 1.2%のトランプのリード | 7.8%のバイデンのリード (結果〜2.78%のバイデンの勝利) | 11.0%のクリントンのリード (結果〜0.23%のトランプの勝利) |
ラストベルトの3つの州(ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、ミシガン州)で勝利する候補が次期大統領になる可能性が極めて高いが、これら3つの州のトランプの数字は2020年、2016年の同日時点の世論調査よりだいぶよい。
2016年も2020年も10月23日時点の世論調査はトランプの完敗を示唆していたが、2016年はトランプの勝利に終わり、2020年は僅差でのトランプの敗北だった。
つまり、前回、前々回の大統領選では世論調査がトランプの支持を過小評価する傾向にあった。今回も同じことが起こっているとなると、世論調査においてトランプがハリスと拮抗しているということは、実はトランプの勝利の可能性が高いことを示唆している。
賭博市場は誰の勝利を予想してるの?
賭博が盛んなアメリカでは、大統領選の行方に関して賭けることが可能である。
賭博市場の推移もRCPが追っており、10月23日時点で、トランプの勝利は60.1%、ハリスの勝利は38.4%の確率となっている。トランプのリードは10月16日時点の13.1%と比較して急拡大している。