2024年大統領選の世論調査の現状⑫〜接戦のまま投票日に突入〜

2024年大統領選の世論調査の現状⑫〜接戦のまま投票日に突入〜

現地時間の11月5日(火)の投票日まであと1日。ここでは、前日時点での世論調査によると、大統領選は接戦のまま投票日に突入することを解説する。このデータを踏まえた大統領選の予測はこちらを参照されたい。また、10月29日時点の世論調査の分析はこちら

今回の大統領選で注目されている州はどこ?

おさらいとなるが、アメリカの大統領選で勝利するためには、各州とワシントン首都(Washington, D.C.)に割り当てられている「選挙人」の過半数を獲得する必要がある

もっとも、大統領選の行方を決めるのは共和党と民主党の支持が拮抗してる「激戦州」であることから、ここでは次の地図にある7つの「激戦州」(水色)を中心に、その他6つの「注目の州」(オレンジ色)にも触れながら解説していく。(数字は当該州に割り当てられている「選挙人」の数)

これら州を激戦州と注目の州に選んだ背景については、こちらを参照されたい。

【激戦州】

  1. ジョージア州(Georgia)
  2. アリゾナ州(Arizona)
  3. ウィスコンシン州(Wisconsin)
  4. ペンシルベニア州(Pennsylvania)
  5. ノースカロライナ州(North Carolina)
  6. ネバダ州(Nevada)
  7. ミシガン州(Michigan)

【注目の州】

  1. フロリダ州(Florida)
  2. テキサス州(Texas)
  3. ミネソタ州(Minnesota)
  4. ニューハンプシャー州(New Hampshire)
  5. オハイオ州(Ohio)
  6. アイオワ州(Iowa)

直近の世論調査はどんな感じなの?

アメリカの世論調査では生データが公開され、リアル・クリア・ポリティクス(Real Clear Politics(RCP))と呼ばれるサイトが大半の世論調査の平均の推移を追っている。

すべての「激戦州」におけるハリス対トランプの平均を10月29日時点の平均と比較してみよう。

11月5日時点10月29日時点2020年の結果
ジョージア州1.7%のトランプのリード2.3%のトランプのリード0.23%のバイデンの勝利
アリゾナ州2.7%のトランプのリード1.5%のトランプのリード0.31%のバイデンの勝利
ウィスコンシン州0.4%のハリスのリード0.3%のトランプのリード0.63%のバイデンの勝利
ペンシルベニア州0.3%のトランプのリード0.5%のトランプのリード1.16%のバイデンの勝利
ノースカロライナ州1.5%のトランプのリード0.8%のトランプのリード1.35%のトランプの勝
ネバダ州1.0%のトランプのリード0.7%のトランプのリード2.39%のバイデンの勝利
ミシガン州0.6%のハリスのリード0.1%のトランプのリード2.78%のバイデンの勝利

「注目の州」の世論調査の平均も10月29日時点の平均と比較してみよう。

11月5日時点10月29日時点2020年の結果
フロリダ州8.0%のトランプのリード8.4%のトランプのリード3.36%のトランプの勝利
テキサス州7.1%のトランプのリード7.0%のトランプのリード5.58%のトランプの勝利
ミネソタ州4.8%のハリスのリード4.3%のハリスのリード7.11%のバイデンの勝利
ニューハンプシャー州3.5%のハリスのリード6.3%のハリスのリード7.35%のバイデンの勝利
オハイオ州7.3%のトランプのリード7.0%のトランプのリード8.03%のトランプの勝利
アイオワ州0.5%のトランプのリード4.0%のトランプのリード8.20%のトランプの勝利

現状の世論調査を踏まえたはどう解釈すればいいの?

前回10月29日と比べると、いずれも許容誤差の範囲内だが、アリゾナ州、ノースカロライナ州、ネバダ州でトランプのリードが拡大しており、ジョージア州、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、ミシガン州でハリス寄りに変動した。ミシガン州とウィスコンシン州ではハリスがリードを奪い返した。

「注目の州」の世論調査では、アイオワ州が気になる。地元紙であるザ・デ・モイン・レジスター(The Des Moines Register)が数日前に公表した世論調査によると、同州ではハリスが3ポイントでリードしている。4年前にトランプが8%の差で勝利したこの州でハリスが勝利すれば青天の霹靂だ。同紙の世論調査は質が高いことで有名であるものの、アイオワ州と類似した投票者から構成するオハイオ州ではトランプが大きくリードしていることから、この世論調査の信憑性には疑義が生じる。

現状の世論調査を踏まえたハリスの勝利への道は?

いずれも許容誤差の範囲内だが、トランプはジョージア州とアリゾナ州で2%弱前後のリードとなり、ノースカロライナ州とネバダ州でも1%程度リードしている。

また、世論調査の平均の内訳を見てみると、ハリスがリードしている世論調査はジョージア州とアリゾナ州では1つずつしかなく、ノースカロライナ州では2つしかない。ハリスがこれら3州を落とすと、勝利への道はラストベルトの3州(ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州)で全勝する以外になくなる。

全国的な世論調査はどうなの?

全国的な世論調査は、より多くの有権者を調査の対象にしていることから州レベルの調査より確度が高いため、こちらも見てみる。

11月5日時点の平均ではトランプとハリスは同点であり、(許容誤差を踏まえると有意ではないものの)10月29日時の0.2%のトランプのリードからハリスが追いついた。

重要なのは、ハリスがリードしていないという点だ。こちらで解説した通り、ハリスは全国的得票率が2%を超えていないと敗北が濃厚なので、同点はハリスにとって完全に敗北ラインだ。

賭博市場は誰の勝利を予想してるの?

賭博が盛んなアメリカでは、大統領選の行方に関して賭けることが可能である。

賭博市場の推移もRCPが追っており、11月5日時点で、トランプの勝利は58.0%、ハリスの勝利は40.6%の確率となっている。トランプのリードは10月29日時点の24.9%と比較して大幅に縮小している。

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