サウスカロライナ州予備選の結果〜ヘイリー、勝ち目がないのに撤退せず〜

サウスカロライナ州予備選の結果〜ヘイリー、勝ち目がないのに撤退せず〜

現地時間の2024年2月24日(土)(日本時間の2月25日の午前)にサウスカロライナ州で共和党の予備選が開票された。ここでは予備選の開票結果を解説する。事前の予想については、この記事を参照

投票結果は?

候補得票率得票数
ドナルド・トランプ59.8%451,905
ニッキー・ヘイリー39.5%298,681
開票99%

この結果はどう解釈すればいいの?

予想されていた通り、トランプの圧勝である。トランプは、(現職大統領を除いて)初めて「初期の予備選」であるアイオワ州ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州を三つとも制覇できた。

ヘイリーは自分が知事を務めていた地元で惨敗したにもかかわらず、多数の州が一斉に予備選・党員集会を実施する3月2日(火)(いわゆるスーパー・チューズデー(Super Tuesday))まで撤退しないと表明した。

結果から見える各候補の強みや弱みは?

出口調査によると、今回の予備選の投票者のうち7割弱が共和党の支持者であり、この投票者の間でトランプは約70%の票を獲得。

サウスカロライナ州は「開いた予備選」なのでどの党にも登録していない、いわゆる無党派の有権者が予備選に投票しており、それら投票者の間でヘイリーは60%超の票を獲得。だた、無党派層の構成比は22%と、ニューハンプシャー州と比較してだいぶ低い。また、ヘイリーは中道派・リベラル派の投票者の間で74%の票を獲得しているが、これら投票者の構成比はたった23%である。

結局のところ、共和党の指名争いを共和党員・保守派の支持なしで勝ち抜くことはほぼ不可能であるという自明的なことをヘイリーは証明しているのに過ぎない。

この先の予備選では何に注目すればよいの?

これまでの結果を踏まえると、ヘイリーが逆転勝ちして指名候補になれるシナリオはもう存在しない。

とはいえ、ヘイリーが撤退を否定したことから、この先、共和党の指名争いは形式的にも次のスケジュールで続く。

  • 2月27日(火)~ミシガン州の予備選
  • 3月2日(土)~ミシガン州、アイダホ州ミズーリ州の党員集会
  • 3月3日(日)~ワシントンD.C.首都の予備選
  • 3月4日(月)~ノースダコタ州の予備選
  • 3月5日(火)~多数の週が予備選・党員集会を実施するスーパー・チューズデー

トランプが共和党の指名候補になることが確実的な中、「誰が予備選・党員集会を勝利するか」を予測してもあまり意味がない。

ただ、上述したとおりトランプは現職大統領を除いて初めてアイオワ州、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州のすべてを制覇できた候補であるものの、逆の見方をすると、現職大統領であれば対抗馬が現れても三つの州をすべて制覇するのが当たり前である。

前大統領であるトランプは実質的に現職大統領の立場で出馬しているのだと考えると、実はこれまでのトランプの勝利には危険信号が灯っている。

近年の大統領で、現職であるにもかかわらず指名争いにおいて(泡沫候補ではない)対抗馬が現れたのは、1992年にジョージ・H・W・ブッシュ大統領がパット・ブキャナンに挑戦された時である。この年のニューハンプシャー州の予備選で、ブキャナンが38%獲得しブッシュ大統領が53%に抑えられたことからブキャナンが”健闘した”と評価されたが、その後の予備選では、ブッシュ大統領が概ね70%前後の票を得て最終的には独走した。

現職大統領であれば、そもそも有力な対抗馬が出てくること自体が弱さの証であり、たとえ対抗馬が現れても7割の票を取れなければ、支持層である党員の間で人気が低いことが表されている。

これまでのトランプの得票率は、アイオワ州の党員集会で51.0%ニューハンプシャー州の予備選で54.3%、サウスカロライナ州の予備選で59.8%。まだ一度も70%台どころか60%台にさえ乗れていない。

今後の予備選での見どころは、トランプの得票率が現職大統領レベルの大台に乗るか、になると考えられる。

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