現地時間の2024年1月23日(火)(日本時間の1月24日の午前)にニューハンプシャー州で共和党と民主党の予備選が開票された。ここでは主に共和党の予備選の開票結果を解説する。事前の予想については、この記事を参照。
投票結果は?
候補 | 得票率 | 得票数 |
ドナルド・トランプ | 54.3% | 174,127 |
ニッキー・ヘイリー | 43.4% | 139,115 |
この結果はどう解釈すればいいの?
10ポイントの差だが、トランプの完勝と言っていいだろう。トランプは、(現職大統領を除いて)初めてアイオワ州とニューハンプシャー州の双方で勝利できた候補である。
ヘイリーにとっては、自分に極めて適した有権者が多いのにもかかわらず、トランプに完敗した。この先、展望が開けることは期待できない。
結果から見える各候補の強みや弱みは?
出口調査によると、今回の共和党の予備選の投票者のうち半数が共和党の支持者であり、その間でトランプは75%もの票を獲得してヘイリーを圧倒した。
ニューハンプシャー州は「開いた予備選」なのでどの党にも登録していない、いわゆる無党派の有権者が参加できるが、今回、無党派層は投票者の40%を構成しており、58%がヘイリーに、39%がトランプに投票し、大差だったとは言えない。
投票率は高かったが、トランプが強い農村部で投票率が上がった。出口調査によるとたった9%がヘイリーが比較的強い都市部の票で、その地域のヘイリーの勝利の差は9ポイントだった。州の首都であるマンチェスター(Manchester)や2番目に人口が多いナシュア(Nashua)ではトランプに負けている。
ヘイリーが圧倒的な強さ(81ポイントの差)を示せたのは6%いた民主党支持者の間くらいだ。
次のサウスカロライナ州予備選の見通しは?
サウスカロライナ州はヘイリーが国連大使になるまで知事を務めていた州なので地元だ。ヘイリーにとっては、極めて重要な州である。
ニューハンプシャー州は中道的な有権者が多かったが、サウスカロライナ州は保守的な州である。また、サウスカロライナ州でも「開いた予備選」が実施されるが、ニューハンプシャー州と違って無党派層による投票が特に多い州ではない。
世論調査では、トランプがヘイリーに30ポイント以上の差をつけている。サウスカロライナ州の予備選が実施される2月24日(火)までまだ1ヶ月あるが、ニューハンプシャー州で結果を出せなかったヘイリーが差を縮められるとは考えにくい。
なお、ネバダ州で2月8日に党員集会が開催されるが、あまり重視されてないので、ここでは考慮しない。
最終的に誰が共和党の指名候補になりそうなの?
アイオワに続いてニューハンプシャーでもトランプが圧勝したので、トランプが指名候補になることがほぼ確実になっている。
ヘイリーはトランプとの一騎打ちが実現できたものの、共和党の基盤である保守派への支持が広がっていないことが致命的。共和党の予備選でリベラル・民主党の票を集めても指名候補にはなれない。
共和党の指名争いはスーパー・チューズデー(Super Tuesday)までもたず、歴史的な早さで決着がつきそうだ。
ちなみに、民主党の予備選の投票結果はどうだったの?
候補 | 得票率 | 得票数 |
ジョウ・バイデン | 66.4% | 72,319 |
ディーン・フィリップス | 19.7% | 21,455 |
マリアン・ウィリアムソン | 4.0% | 4,366 |
「記名投票」であったにも関わらずバイデン大統領の圧勝で、注記することはない。