2024年大統領選の世論調査の現状⑨〜10日16日時点でハリスは敗北ライン〜

2024年大統領選の世論調査の現状⑨〜10日16日時点でハリスは敗北ライン〜

現地時間の11月5日(火)の投票日まで3週間。ここでは、10月16時点での世論調査によるとハリスが失速気味で落選ラインまで後退していることを解説する。なお、10月4日時点の世論調査の分析はこちらを参照されたい。

今回の大統領選で注目されている州はどこ?

おさらいとなるが、アメリカの大統領選で勝利するためには、各州とワシントン首都(Washington, D.C.)に割り当てられている「選挙人」の過半数を獲得する必要がある

もっとも、大統領選の行方を決めるのは共和党と民主党の支持が拮抗してる「激戦州」であることから、ここでは次の地図にある7つの「激戦州」(水色)を中心に、その他6つの「注目の州」(オレンジ色)にも触れながら解説していく。(数字は当該州に割り当てられている「選挙人」の数)

これら州を激戦州と注目の州に選んだ背景については、こちらのハリスにとっての2つの勝利への道の解説を参照されたい。

【激戦州】

  1. ジョージア州(Georgia)
  2. アリゾナ州(Arizona)
  3. ウィスコンシン州(Wisconsin)
  4. ペンシルベニア州(Pennsylvania)
  5. ノースカロライナ州(North Carolina)
  6. ネバダ州(Nevada)
  7. ミシガン州(Michigan)

【注目の州】

  1. フロリダ州(Florida)
  2. テキサス州(Texas)
  3. ミネソタ州(Minnesota)
  4. ニューハンプシャー州(New Hampshire)
  5. オハイオ州(Ohio)
  6. アイオワ州(Iowa)

直近の世論調査はどんな感じなの?

アメリカの世論調査では生データが公開され、リアル・クリア・ポリティクス(Real Clear Politics(RCP))と呼ばれるサイトが大半の世論調査の平均の推移を追っている。

すべての「激戦州」におけるハリス対トランプの平均を10月4日時点の平均と比較してみよう。

10月16日時点10月4日時点2020年の結果
ジョージア州0.7%のトランプのリード1.5%のトランプのリード0.23%のバイデンの勝利
アリゾナ州1.1%のトランプのリード1.7%のトランプのリード0.31%のバイデンの勝利
ウィスコンシン州0.3%のハリスのリード0.8%のハリスのリード0.63%のバイデンの勝利
ペンシルベニア州0.3%のトランプのリード同点1.16%のバイデンの勝利
ノースカロライナ州1.4%のトランプのリード0.6%のトランプのリード1.35%のトランプの勝
ネバダ州0.5%のトランプのリード1.1%のハリスのリード2.39%のバイデンの勝利
ミシガン州0.9%のトランプのリード0.7%のハリスのリード2.78%のバイデンの勝利

「注目の州」の世論調査の平均も10月4日時点の平均と比較してみよう。

10月16日時点10月4日時点2020年の結果
フロリダ州6.1%のトランプのリード5.0%のトランプのリード3.36%のトランプの勝利
テキサス州5.8%のトランプのリード5.2%のトランプのリード5.58%のトランプの勝利
ミネソタ州4.7%のハリスのリード4.7%のハリスのリード7.11%のバイデンの勝利
ニューハンプシャー州7.4%のハリスのリード7.7%のハリスのリード7.35%のバイデンの勝利
オハイオ州7.4%のトランプのリード8.2%のトランプのリード8.03%のトランプの勝利
アイオワ州4.0%のトランプのリード4.0%のトランプのリード8.20%のトランプの勝利

現状の世論調査はどう解釈すればいいの?

前回10月4日と比べて、ジョージア州、アリゾナ州がハリス寄りに、ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州、ネバダ州、ミシガン州がトランプ寄りに変動した。

ネバダ州とミシガン州ではトランプがハリスからリードを奪ったことから、ハリスがリードしている州は1つしかない。また、各州の世論調査の詳細を見ると、大半の州でトランプがリードしている世論調査の方がハリスがリードしている調査より多い。

許容誤差を考慮するとトランプのリードは統計的に有意ではないものの、もはやハリスが有利とは言えない状態になっていることは間違いない。最近のハリスのマスコミ巡りもマイナスに働いている可能性がある。

「注目の州」の世論調査も、動きがあった州はすべてトランプ寄りに変動している。

全国的な世論調査はどうなの?

全国的な世論調査は、より多くの有権者を調査の対象にしていることから州レベルの調査より確度が高いため、こちらも見てみる。

10月16日時点の平均でハリスはトランプを全国的に1.3%リードしており、10月4日時点の2.2%のリードから縮小している。

許容誤差はさておき、2%を下回ったことは大きい。こちらで解説した通り、全国的得票率の1.3%のリードはハリスにとって敗北ラインである。

2020年と2016年の同日時点と比較すると、今回の選挙の現状はどうなの?

トランプにとって今回の大統領選は3回連続の出馬。現在の世論調査の平均を2020年と2016年の大統領選における10月16日時点の平均と比較すると、次のようになる。

(なお、2024年の投票日は現地時間の11月5日、2020年は11月3日、2020年は11月8日だったので、10月16日から投票日までの日数は異なる)

2024年2020年2016年
全国1.3%のハリスのリード9.4%のバイデンのリード
(結果〜4.46%のバイデンの勝利)
6.7%のクリントンのリード
(結果〜2.09%のクリントンの勝利)
ジョージア州0.7%のトランプのリード1.2%のバイデンのリード
(結果〜0.23%のバイデンの勝利)
5.3%のトランプのリード
(結果〜5.13%のトランプの勝利)
アリゾナ州1.1%のトランプのリード3.5%のバイデンのリード
(結果〜0.31%のバイデンの勝利)
0.7%のトランプのリード
(結果〜3.50%のトランプの勝利)
ウィスコンシン州0.3%のハリスのリード6.3%のバイデンのリード
(結果〜0.63%のバイデンの勝利)
6.0%のクリントンのリード
(結果〜0.77%のトランプの勝利)
ペンシルベニア州0.3%のトランプのリード6.4%のバイデンのリード
(結果〜1.16%のバイデンの勝利)
8.2%のクリントンのリード
(結果〜0.72%のトランプの勝利)
ノースカロライナ州1.4%のトランプのリード2.8%のバイデンのリード
(結果〜1.35%のトランプの勝)
3.3%のクリントンのリード
(結果〜3.66%のトランプの勝利)
ネバダ州0.5%のトランプのリード5.2%のバイデンのリード
(結果〜2.39%のバイデンの勝利)
1.6%のクリントンのリード
(結果〜2.42%のクリントンの勝利)
ミシガン州0.9%のトランプのリード7.2%のバイデンのリード
(結果〜2.78%のバイデンの勝利)
11.4%のクリントンのリード
(結果〜0.23%のトランプの勝利)

ラストベルトの3つの州(ウィスコンシン州、ペンシルベニア州、ミシガン州)で勝利する候補が次期大統領になる可能性が極めて高いが、これら3つの州のトランプの数字は2020年、2016年の同日時点の世論調査よりだいぶよい。

2016年も2020年も10月16日時点の世論調査はトランプの完敗を示唆していたが、2016年はトランプの勝利に終わり、2020年は僅差でのトランプの敗北だった。

つまり、前回、前々回の大統領選では世論調査がトランプの支持を過小評価する傾向にあった。今回も同じことが起こっているとなると、世論調査においてトランプがハリスと拮抗しているということは、実はトランプの勝利の可能性が高いことを示唆している。

賭博市場は誰の勝利を予想してるの?

賭博が盛んなアメリカでは、大統領選の行方に関して賭けることが可能である。

賭博市場の推移もRCPが追っており、10月16日時点で、トランプの勝利は56.1%、ハリスの勝利は43.0%の確率となっている。9月中はハリスがリードしていたが、10月に入ってからトランプがリードを奪い、この数日間だけでリードが急激に拡大している。ハリスは結構危ない状態だ。

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