2024年大統領選の世論調査の現状④〜8日5日時点で一部ハリスがリード〜

2024年大統領選の世論調査の現状④〜8日5日時点で一部ハリスがリード〜

カマラ・ハリスが民主党の大統領指名候補になることが確実になってから2週間が経ち、ハリス対トランプの世論調査も増えてきた。ここでは8月5日時点で一部ハリスがリードし始めた世論調査を解説する。なお、7月27日時点の世論調査の分析はこちらを参照されたい。

今回の大統領選で注目されている州はどこ?

おさらいとなるが、アメリカの大統領選で勝利するためには、各州とワシントン首都(Washington, D.C.)に割り当てられている「選挙人」の過半数を獲得する必要がある

もっとも、大統領選の行方を決めるのは共和党と民主党の支持が拮抗してる「激戦州」であることから、ここでは次の地図にある7つの「激戦州」(水色)を中心に、その他6つの「注目の州」(オレンジ色)にも触れながら解説していく。(数字は当該州に割り当てられている「選挙人」の数)

これら州を激戦州と注目の州に選んだ背景については、こちらのハリスにとっての2つの勝利への道の解説を参照されたい。

【激戦州】

  1. ジョージア州(Georgia)
  2. アリゾナ州(Arizona)
  3. ウィスコンシン州(Wisconsin)
  4. ペンシルベニア州(Pennsylvania)
  5. ノースカロライナ州(North Carolina)
  6. ネバダ州(Nevada)
  7. ミシガン州(Michigan)

【注目の州】

  1. フロリダ州(Florida)
  2. テキサス州(Texas)
  3. ミネソタ州(Minnesota)
  4. ニューハンプシャー州(New Hampshire)
  5. オハイオ州(Ohio)
  6. アイオワ州(Iowa)

直近の世論調査はどんな感じなの?

アメリカの世論調査では生データが公開され、リアル・クリア・ポリティクス(Real Clear Politics(RCP))と呼ばれるサイトが大半の世論調査の平均の推移を追っている。

すべての「激戦州」でバイデン撤退後のハリス対トランプの世論調査が少なくとも1つ公表されているので、撤退時点のバイデンの数字と比較しながら見てみよう。

なお、ハリス対トランプの平均はバイデンが撤退した7月21日以降に実施された調査のみを考慮している。また、「注目の州」の世論調査は乏しいので、今回は解説を割愛する。

8月5日時点の
ハリス対トランプ
撤退時点の
バイデン対トランプ
2020年の結果
ジョージア州0.8%のトランプのリード4.0%のトランプのリード0.23%のバイデンの勝利
アリゾナ州1.7%のトランプのリード5.8%のトランプのリード0.31%のバイデンの勝利
ウィスコンシン州0.3%のハリスのリード3.3%のトランプのリード0.63%のバイデンの勝利
ペンシルベニア州1.8%のトランプのリード4.5%のトランプのリード1.16%のバイデンの勝利
ノースカロライナ州2.0%のトランプのリード5.7%のトランプのリード1.35%のトランプの勝
ネバダ州2.0%のハリスのリード5.6%のトランプのリード2.39%のバイデンの勝利
ミシガン州3.3%のハリスのリード2.1%のトランプのリード2.78%のバイデンの勝利

現状の世論調査はどう解釈すればいいの?

どの州も1〜5つの世論調査しかなく、その中には信頼性に疑義があるBloomberg/MrnConsult社が平均に含まれているため、データに依存しすぎるのには注意が必要だ。

(特にBloomberg/MrnConsult社のミシガン州の調査はハリスの11ポイントのリードを示しているが、これは隣接しているウィスコンシン州とペンシルベニア州の結果を踏まえると現実的ではない。この結果は統計的に5%くらいの確率で発生してしまう異常値であると考えるのが妥当だろう)

もっとも、すべての州で差が大きく縮まっており、(許容誤差範囲内であるとはいえ)複数の州でハリスがトランプをリードし始めたのは注目に値する。6月以降、バイデンが激戦州の世論調査の平均でリードしたことは一度もなかった。

なお、ハリスはミシガン州、ウィスコンシン州、ネバダ州でリードしているが、こちらで解説したとおり、この3つの州で勝利するだけでは当選できない。

大統領選はまだまだ混戦状態と言えるだろう。

全国的な世論調査はどうなの?

州レベルでの世論調査の数が限られているので、全国的な世論調査も見てみよう。全国調査はより多くの有権者を調査の対象にしているので、州レベルの調査より確度が高い。

8月5日時点の平均では、ハリスは全国的にトランプに0.8%リードされており無所属や第三極の候補も含んだ5人の競争の世論調査ではリードを奪った(0.2%)。ちなみに、バイデンは撤退した時点でトランプに平均3.1%リードされていたので、ハリスがトランプを追い上げているのは間違いない。

なお、民主党はカリフォルニア州ニューヨーク州など人口の多い州で圧勝することから、州レベルで競われる大統領選では勝敗に貢献しない無駄な票を多く発生させる。したがって、ハリスは全国的に数ポイントリードしていないと、州レベルの戦いで確実に負ける。

実際、2020年の大統領選で勝利したバイデンは、全国的の得票率でトランプを4.5%上回ったが、複数の激戦州で1%前後の接戦を制することでなんとか当選している。

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