スーパー・チューズデーの予測〜トランプは現職大統領並みの強さを発揮できるか〜

スーパー・チューズデーの予測〜トランプは現職大統領並みの強さを発揮できるか〜

現地時間の2024年3月5日(火)(日本時間の3月6日の午前)はスーパー・チューズデー(Super Tuesday)。15の州で共和党および民主党の予備選が開票される。ここでは主に共和党の予備選で注目すべき事項、予想と今後の見通しについて解説する。なお、この記事はこちらの大統領候補指名争いに関する解説に目を通してから読むことをお勧めする。

現在、誰が共和党の指名争いに残ってるの?

次の2人が指名争いに残っている。

  • ドナルド・トランプ前大統領(Donald J. Trump)〜これまでの予備選・党員集会ですべて完勝・圧勝していることから、共和党の指名候補になることがほぼ確実
  • ニッキー・ヘイリー元国連大使・サウスカロライナ州元知事(Nikki Haley)〜地元であるサウスカロライナ州の予備選を含めすべて完敗し、指名候補になることは絶望的

どの州がこの日に予備選を実施するの?

  1. アラバマ州(Alabama)
  2. アラスカ州(Alaska)
  3. アーカンソー州(Arkansas)
  4. カリフォルニア州(California)
  5. コロラド州(Colorado)
  6. メイン州(Maine)
  7. マサチューセッツ州(Massachusetts)
  8. ミネソタ州(Minnesota)
  9. ノースカロライナ州(North Carolina)
  10. オクラホマ州(Oklahoma)
  11. テネシー州(Tennessee)
  12. テキサス州(Texas)
  13. ユタ州(Utah)
  14. バーモント州(Vermont)
  15. バージニア州(Virginia)

大統領候補の指名争いはこちらで解説しているとおり党大会代表者獲得レースであり、これら州で実施される予備選を通して、7月15日に開催される共和党の党大会に出席し正式に大統領候補を指名する全党大会代表者の4割弱が選ばれる。

この中でヘイリーが勝てる州はあるの?

ヘイリーは、勝利できる可能性が最も高かったニューハンプシャー州に加えて地元のサウスカロライナ州でも完敗したので、もはやスーパー・チューズデーに勝利できる州は1つもない。

ヘイリーが勝てる州をあえて挙げるとしたら、保守的な共和党の党員でさえリベラルよりなバーモント州くらいか。

結果が分かっているなら、何に注目すればよいの?

トランプは「初期の予備選」であるアイオワ州、ニューハンプシャー州およびサウスカロライナ州のすべてを制覇している。これが実現できた候補者は現職大統領を除くと彼が初めてである一方で、現職大統領であれば三つとも制覇できて当たり前だと言える。

トランプが前大統領であることを鑑みると、共和党の中での彼の立場は現職大統領に近いと考えるのが適切かもしれない。

もしトランプは実質的に現職大統領であると考えた場合、これまでの”完勝”の勝利の解釈が異なってくる。

最近の大統領で現職であるにもかかわらず指名争いにおいて(泡沫候補ではない)対抗馬が現れたのは、1992年にジョージ・H・W・ブッシュ大統領がパット・ブキャナンに挑戦された時である。この時のブッシュ大統領は、最初のニューハンプシャー州予備選でこそブキャナンに15ポイントの差まで追い上げられたが、その後の予備選では概ね70%前後の票を得て独走した。

現職大統領であれば、そもそも有力な対抗馬が出てくること自体が弱さの証であり、たとえ対抗馬が現れても7割の票を取れなければ、支持層である党員の間で人気が低いことが表されている。

これまでの予備選・党員集会でのトランプの得票率は以下の通りである。

ミシガン州の予備選で初めて60%台に乗り、まだ一度も70%台に乗れてない。

スーパー・チューズデーでは、15の州うちいくつでトランプが70%超の大台に乗れるか、が注目される。得票率が過半数の州で70%を下回るようなことがあれば、共和党内でトランプに対する根強い不満がある言えよう。

で、当日はどうなりそうなの?

最近の世論調査では、全国的にトランプが8割弱の支持を得ている。また、過去の予備選では、候補指名争いが進むにつれて1位の候補が支持を伸ばしていく傾向がある。これらを踏まえると、スーパー・チューズデーには大半の州でトランプが70%を超える票を獲得すると思われる。

その結果、さすがのヘイリーも撤退せざるを得なくなり、トランプは名実共に共和党の指名候補となるであろう。

民主党の予備選では何に注目すればいいの?

こちらで解説したとおり、民主党の予備選ではバイデン大統領以外は泡沫候補しか出馬していない。

他方で、最近の世論調査ではバイデンの支持率が40%前後と低迷し、民主党支持者の間でも特に若者の間の支持が低い。

2月27日(火)に実施されたミシガン州の民主党予備選では13%もの投票者が「上記のどれでもない(”uncommitted”)」を選択しており、(泡沫候補はもちろんのこと)バイデン大統領に対する一定の不満が示された。

スーパー・チューズデーでも同じような結果が出る州があるかが注目される。

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