トランプ大統領とバンス副大統領の誕生〜多くの歴史を塗り替えた就任〜

トランプ大統領とバンス副大統領の誕生〜多くの歴史を塗り替えた就任〜

現地時間の1月20日(月)、ドナルド・トランプ大統領(Donald Trump)とJDバンス副大統領(JD Vance)が正式に就任した。彼らの就任が年齢、政権復帰、短期政権の面で歴史的である理由を解説していく。

トランプ大統領は史上最高齢

2期目就任時のトランプの年齢は78年220日。就任時の年齢としては過去最高で、4年前にジョウ・バイデン(Joe Biden)が就任した時の年齢だった78年61日を更新した。バイデン本人も1985年にロナルド・レーガン(Ronald Reagan)が2期目に就任した時の73年349日を更新したので、2期連続最高齢の記録が更新されたことになる。

バイデンは大統領選撤退を強いられるほど高齢が懸念され、レーガンは大統領退任の頃から既に認知症が始まっていたのではないかと噂されている。任期満了時は83歳近くになっているトランプが任期を全うできるか注目される。

バンス副大統領は歴史的に極めて若齢

トランプが記録的な高齢である一方、副大統領のバンスは歴史的な若齢である。

バンスの副大統領就任時の年齢は40年171日で、1821年に36年47日で就任したジョン・C・ブレッキンリッジ(John C. Breckinridge)、1953年に40年11日で就任したリチャード・ニクソン(Richard Nixon)に継ぐ3番目の若さだ。

史上最年少の大統領は、ウィリアム・マッキンリー大統領(William McKinley)の暗殺により42歳で大統領に就任したセオドア・ルーズベルト(Theodore Roosevelt)。トランプに万一何かあった場合、バンスは史上最年少の大統領になる可能性がある。

正副大統領の年齢差は過去最大

トランプとバンスには38年の年齢の差があり、正副大統領の年齢差としては過去最大である

これまでの年齢差の記録は1821年に65歳で大統領に就任したジェームズ・ブキャナン(James Buchanan)とブレッキンリッジの29年だったので、歴史的なトランプの高齢とバンスの若さが年齢差の記録を大きく更新することとなる。

トランプとバンスには2世代もの差があり、トランプ後の共和党は若返りが一気に進むかも知れない。

大統領・副大統領コンビは過去にないほど未経験

トランプの政治・行政の経験は2017年から2021年にかけて大統領を務めたのみであり、バンスの経験は連邦上院議員を2年間務めたのみだ。

大統領・副大統領コンビの経験の浅さとしては、1913年にニュージャージー州の知事を2年間務めて大統領になったウッドロウ・ウィルソン(Woodrow Wilson)とインディアナ州の知事を4年間務めて副大統領になったトーマス・R・マーシャル(Thomas R. Marshall)以来だろう。

にもかかわらず、トランプが大統領を務めた経験があるせいか、トランプ・バンスの未経験さに対する懸念の声は出ていない。

大統領に復帰できたのはたった2人目

トランプは再選で敗北した後に大統領に復帰でき、これができたのは、1885年から1889年および1893年から1897年に大統領を務めたグロバー・クリーブランド(Grover Cleveland)以来2人目である。

なお、クリーブランドも1期目と2期目で副大統領が異なったが、クリーブランドの場合は1期目中に副大統領が死去したからであり、トランプのように意図的に副大統領を交代させたわけではなかった。

大統領の任期が3期連続1期に留まるのは130年ぶり

アメリカ連邦憲法上大統領は2期までと定められているため(大統領の辞任・死去により副大統領から大統領に就任した場合は3期目も可能)、2029年にまた大統領が変わるのは確実である。2017年から2029年にかけて、トランプ、バイデン、トランプと3期連続1期の大統領が続くことになる。

これは1877年から1897年にかけて、大統領の死去や再選不出馬などにより1期しか務めなかった大統領が6期続いた以来の長さだ。当時のアメリカは南北戦争の戦後処理や産業革命などで国が激変した時であり、今のアメリカがポピュリズムの波に襲われ大きく変わりつつある過渡期にあることを語っている。

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