トランプ政権が郵便投票に新ルール〜選挙直前の変更は合法なのか〜

ドナルド・トランプ大統領は、11月の中間選挙を前に、郵便投票用紙の発送方法を全国的に変更する新しい仕組みを導入しようとしている。これを実施するために、アメリカ合衆国郵便公社(U.S. Postal Service)は新たなシステムを構築しているが、内部告発者からは運用開始に必要な準備やテストが十分に行われていないとの指摘が出ている。本稿では、なぜ中間選挙の投票が始まる時期になって、郵便投票の仕組みが変更されようとしているのかを整理する。そのうえで、選挙の運営を原則として州が担うアメリカでトランプ大統領や郵便公社がこうした変更を行う権限を有するのか、そしてこの争いがすでに始まっている中間選挙にどのような影響を与えるのかを見ていく。

トランプへの忠誠か、検察官としての義務か〜側近の検事が突きつけられた選択〜

ドナルド・トランプ大統領から名指しで「腰砕けになった」と公然と批判され、進退まで取り沙汰されている検事がいる。長年にわたってトランプをテレビで擁護し、第2期トランプ政権で連邦検事長官(U.S. Attorney)に抜擢されたジャニーン・ピロ(Jeanine Pirro)である。きっかけは、リンカーン記念堂(Lincoln Memorial)のリフレクティング・プール(Reflecting Pool)を傷つけたとして元オリンピック選手が起訴された事件で、ピロが訴追を取り下げたことだった。今回の騒動は、政治任用職である連邦検事長官が、トランプ大統領から期待される忠誠と検察官が法廷で負う職業上・倫理上の義務の狭間に置かれたとき、誰に対して忠実でなければならないのかというアメリカの司法制度上の問題を浮き彫りにしている。本稿では、この事件の経緯とピロの判断をたどりながら、連邦検事長官と大統領との関係、検察官が法廷で負う職業上・倫理上の義務、そして日本企業にとっての本事件の意味について解説する。

トランプ政権に共和党上院議員が反旗〜司法長官人事を揺さぶった利益相反問題〜

共和党が過半数を握る連邦上院では、ドナルド・トランプ大統領が連邦司法長官(United States Attorney General)に指名したトッド・ブランチ(Todd Blanche)の承認が、共和党議員によって留保されるという異例の事態が起きていた。問題視されていたのは、トランプ大統領が個人としてアメリカ政府を相手に起こした訴訟を、自らが率いる政権の連邦司法省が和解し、その結果としてトランプ本人や家族が恩恵を受けるという利益相反や公私混同の構図である。トランプ政権と共和党連邦上院議員の対立は、最終的に、トランプ政権が共和党議員の要求を受け入れる形で決着した。本稿では、その背景をたどりながら、この問題がなぜ起きたのか、そしてアメリカ政治や日本企業にとってどのような意味を持つのかを解説する。

トランプ大統領が掲げる「選挙の公正性」〜州政府との対立から読み解くアメリカの選挙制度〜

2026年7月16日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領は11月の中間選挙に先立ち、「選挙の公正性(election integrity)」を政権の最重要課題の一つとして位置付ける全米向けの演説を行った。しかし、アメリカでは大統領選挙や連邦議会選挙であっても実際に選挙を運営するのは州政府であることから、大統領が選挙を完全に管理することはできない。本稿では、トランプ大統領が「選挙の公正性」を前面に打ち出した背景を出発点として、まずアメリカの選挙における州政府と連邦政府の役割分担を整理する。次に、有権者登録名簿をめぐるトランプ政権と州政府の対立を説明した上で、今回の演説と中間選挙との関係、そして日本への影響を解説する。

共和党上院議員の間で広がるトランプとの対立〜「逆らえない時代」は終わるのか〜

2026年6月、連邦上院の共和党議員の一部がトランプ政権に対して公然と対立する事例が相次いだ。その動きは法案や人事など多岐にわたる分野で見られており、引退を決めた議員、すでに予備選で敗北した議員、そして11月の中間選挙で厳しい選挙を控える議員を中心に起こっている。この傾向が続けば、2016年以来の「共和党議員はトランプに逆らえない」というアメリカ政治の前提が変化することになる。ここでは、なぜ今になって共和党上院議員がトランプに異議を唱え始めているのかを整理した上で、この動きが今後どこまで広がるのかを考える。

大統領はどこまで行政を支配できるのか〜連邦最高裁が迫られる歴史的判断〜

連邦最高裁は2026年6月中に、アメリカの行政の仕組みを大きく変える可能性がある判決を下す見込みである。表面的な争点は、大統領が独立執行機関の委員を自由に解任できるかという人事上の問題である。だが、本質的な争点はそれに留まらない。問われているのは、アメリカ連邦政府の行政を大統領がどこまで支配できるのか、そして「独立執行機関」という仕組みを今後も維持できるのかという、行政国家の根幹に関わる問題である。ここでは、具体的な争点を整理したうえで、独立執行機関における解任制限の意味、連邦最高裁がそれを違憲と判断した場合の影響、そして日本企業への影響について解説する。

トゥルシー・ギャバード国家情報長官の辞任〜何か月も前から予測されていた理由〜

2026年5月22日(現地時間)、トゥルシー・ギャバード国家情報長官は、6月30日付で退任すると発表した。ギャバードの退任が数か月前から取り沙汰されていた背景、今後更迭される可能性がある主要閣僚、そして今回の辞任が日本企業に与える影響について解説する。

元FBI長官コミー再起訴〜トランプ政権下で進む司法省の政治化〜

2026年4月28日(現地時間)、アメリカ連邦捜査局の元長官ジェームズ・コミーが大統領に対する脅迫の疑いで起訴された。トランプ政権の下でのコミーの起訴は2025年9月に続いて2回目である。ここでは、コミーがなぜ繰り返しトランプ政権下で訴追されているのかという背景を整理した上で、今回の事件で有罪が成立する可能性は低いと考えられる理由を説明する。また、この一連の動きにある政治的意図と、日本企業への影響についても解説する。

労働長官チャベス=デレマーの更迭〜中間選挙を前に「内閣改造」局面に入ったトランプ政権〜

2026年4月20日(現地時間)、連邦労働長官ロリ・チャベス=デレマー(United States Secretary of Labor Lori Chavez-DeRemer)が、ドナルド・トランプ大統領によって事実上更迭された。ここでは、その背景とトランプ政権が中間選挙を見据えた「内閣改造」のフェーズに入ったことの意味を解説する。

ボンディ司法長官の更迭〜エプスタイン問題と政治化する司法省〜

4月2日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領はパム・ボンディ(Pam Bondi)連邦司法長官を更迭した。ボンディ更迭の理由を整理したうえで、これまでの路線を踏襲する後任人事と、トランプ政権のもとで政治色が強まるアメリカが日本企業に与える影響について解説する。