トランプ大統領が掲げる「選挙の公正性」〜州政府との対立から読み解くアメリカの選挙制度〜

2026年7月16日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領は11月の中間選挙に先立ち、「選挙の公正性(election integrity)」を政権の最重要課題の一つとして位置付ける全米向けの演説を行った。しかし、アメリカでは大統領選挙や連邦議会選挙であっても実際に選挙を運営するのは州政府であることから、大統領が選挙を完全に管理することはできない。本稿では、トランプ大統領が「選挙の公正性」を前面に打ち出した背景を出発点として、まずアメリカの選挙における州政府と連邦政府の役割分担を整理する。次に、有権者登録名簿をめぐるトランプ政権と州政府の対立を説明した上で、今回の演説と中間選挙との関係、そして日本への影響を解説する。

ニューヨーク市マムダニ市長の4大公約〜市長権限で実現するものと州の協力が必要なもの〜

2026年1月に就任したニューヨーク市長、ゾーラン・マムダニ(Zohran Mamdani)は、市長選で「市営スーパー」「家賃凍結」「無償保育サービス」「無料バス」といった低所得層向けの政策を掲げていた。これら4つの政策は一見似た「生活支援策」に見えるが、実現可能性は法的権限の所在によって大きく異なる。なぜ「市営スーパー」と「家賃凍結」はマムダニの権限内で実現でき、「無償保育サービス」と「無料バス」は州の協力がないと実現しにくいかを解説していく。