アメリカでは選挙の仕組みが州ごとに異なることから、開票の進み方が州によって大きく異なる。ここでは、郵便による票と当日の票の違いを説明し、今年の大統領選における激戦州の各州において、カマラ・ハリスの票とドナルド・トランプの票のどちらが先に開票されることが想定されるかを解説していく。
開票の進み方について、何に注目すればいいの？
２つある。
１つは、郵便による票と当日の票の違いだ。2020年の大統領選では、郵便による票が民主党寄り、当日の票が共和党寄りという傾向があった。今年の大統領選では共和党も郵便による投票を促しているので、前回見られた現象が今回も起こるかが注目される。
２つ目は、州が郵便による票を開票できるタイミングだ。こちらで解説したとおり、郵便で届いた投票用紙は”受理”と”集計”する必要があり、これら作業を開始できるタイミングが州によって異なる。
（”受理”とは、郵便で届いた投票用紙を開封し有権者名簿に載っている署名と投票用紙に記載されている署名が一致していることを確認する作業で、”集計”は受理された投票用紙を数える作業）
郵便による票は当日の票より開票するのに手間がかかるため、投票時間が終了すると郵便による票が後回しにされ当日の票の開票が優先される傾向がある。よって、州の法律上いつ郵便の票の受理と集計ができるかが、その州における郵便の票の開票報告のタイミングに影響を及ぼす。
どの州が最も開票が早くて、これら州では開票はどのように進むの？
郵便による票の受理および集計を投票日前から始めてよい州は少ないが、今年の大統領選における激戦州のアリゾナ州（Arizona）とネバダ州（Nevada）および注目の州のフロリダ州（Florida）がこれに該当する。
これら州では投票時間終了時点で大半の郵便による票が開票作業を終えているので、投票時間終了と共にほとんどの郵便の票の開票結果が報告される。
当日の票の集計は投票終了後に始まる。よって、この3州における開票の報告は、概ね郵便の票=>当日の票の順番で進む。
今年の大統領選でも郵便による票が民主党寄りで当日の票が共和党寄りだとすると、これらの州では、当初の開票報告でハリスがリードし、当日の票が開票されていくにつれてトランプが追い上げることが想定される。
なお、フロリダ州は法律とタイムゾーンの関係で開票が特に早いため、選挙日の当日はまずはフロリダ州の開票の傾向が注目される。
最も開票が遅いのはどの州で、開票はどのように進むの？
郵便による票の受理を投票日まで待たなければならない州は少数だが、重要な激戦州であるペンシルベニア州（Pennsylvania）とウィスコンシン州（Wisconsin）および注目の州のニューハンプシャー州（New Hampshire）が該当する。
郵便の票は受理しないと集計できないので、これら州では郵便による票の開票が大幅に遅れる。したがって、この3州における開票の報告は、概ね当日の票=>郵便の票の順番で進む。
今年の大統領選でも郵便による票が民主党寄りで当日の票が共和党寄りだとすると、これらの州では、当初の開票でトランプがリードし、郵便の票が開票されていくにつれてハリスが追い上げることが想定される。
その他の州の開票はどのように進むの？
郵便による票の受理を投票日前から始められるものの集計は投票日の朝または投票終了後まで始められない州が大半であり、激戦州のジョージア州（Georgia）、ミシガン州（Michigan）、ノースカロライナ州（North Carolina）および注目の州のアイオワ州（Iowa）、オハイオ州（Ohio）、テキサス州（Texas）、ミネソタ州（Minnesota）がこれに該当する。
これら州では、投票時間終了後直ぐに作業済みの郵便の票の一部の開票結果が報告され、その後、当日の票と残りの郵便の票の開票が続く。
この場合、開票の進み方は一概には言えない。
投票日の朝から郵便の票を効率よく集計できた州では、（今年の大統領選でも郵便による票が民主党寄りで当日の票が共和党寄りだとすると）当初の開票でハリスがリードし、当日の票が開票されていくにつれてトランプが追い上げることが想定される。
他方、投票時間終了前に郵便の票の集計ができなかった又は進まなかった州では、当初はトランプがリードし、ハリスが追い上げることが想定される。
ただ、一般論として、郵便の票も当日の票も人口の多い都市部の方が地方より集計するのに時間がかかる。都市部では民主党の票が多いので、開票率が90%を超えると、これら州ではハリスが票を伸ばしていくことが想定される。