2025年10月1日(現地時間)、アメリカの連邦政府が閉鎖した。ここでは、政府閉鎖とは何なのか、なぜ民主党の抵抗により政府閉鎖が起こったのか、そして今回の政府閉鎖が過去のとどのように異なるのかなどについて解説していく。
簡潔に纏めると、何が起こったの?
10月1日にアメリカ連邦政府の2025年度が始まったが、新年度予算も継続予算決議(continuing resolution、通称CR)と呼ばれるつなぎ予算も成立しなかったため、政府は支出が原則として停止される政府閉鎖に追い込まれ、この先、多くの市民サービスが提供されない状態に陥った。
アメリカで予算を成立させるためには、連邦下院と連邦上院を通過した予算を大統領が承認する必要がある。新年度予算が間に合わないと判断した共和党は9月中旬、11月21日まで2024年会計年度の水準の支出を継続させるCRを提案したが、このCRは連邦下院を通過したものの、連邦上院を通過しなかった。
なぜ共和党が上院でも過半数を維持しているのにCRは成立しなかったの?
連邦上院には奇妙な審議の仕組みがあり、原則として60票がないとCRを通過させられないからだ。
現在、共和党は上院で100議席中53議席しか有していないため、野党の民主党の協力がないとCRを成立させられない。9月31日(現地時間)の深夜、上院はCRについて度々採決したが、民主党議員3名の賛成しか得られず、共和党から1人の増販があったので、55票の賛成で否決された。
民主党はなぜCRに反対したの?
共和党が提案したCRはクリーンCRと呼ばれ、これは政策を変更せずに前年度の支出水準を継続するつなぎ予算である。民主党は医療補助金の復活等をCRの条件にしたため、クリーンCRに反対した。
過去の政府閉鎖においては歳出削減等を求める共和党がクリーンCRに反対して政府を閉鎖に追い込んでいたので、今回はそれぞれの立場が逆転している。
その背景には、2025年3月にCRが成立していたことがある。当時、民主党連邦上院の執行部は政府閉鎖を回避することを優先して共和党案のCRに賛成した。この行為は民主党の連邦下院議員だけでなく党の支持者にも「弱腰」と大きく批判されたため、支持率が低迷する民主党は、党の支持者を意識して強硬な姿勢に出ていると見られている。
政府閉鎖はどれくらい続く見込みなの?
過去の政府閉鎖は16日間〜35日間続いており、今回の閉鎖がいつまで続くかは民主党連邦議員と共和党連邦議員およびドナルド・トランプ大統領の間の交渉の進展次第による。現在休会中の連邦下院議会が再招集されるのは10月7日(現地時間)なので、(既に下院を通過しているクリーンCRを民主党が認めない限り)政府閉鎖は少なくとも1週間は続くと思われる。
過去の政府閉鎖において、民主党の支持者は共和党と妥協すべきという姿勢を取る傾向にあったのだが、今回は「党は信念・主義を貫くべき」という姿勢を取る支持者が増えている。共和党の支持者は従来から妥協より新年・主義を重視するので、今回の政府閉鎖では両党ともその姿勢を取っているとなると、膠着状態が長引く可能性がある。
今回の政府閉鎖は過去の閉鎖とどう異なるの?
閉鎖期間中の連邦職員の扱いがこれまでとは異なる可能性がある。
政府閉鎖が起こると、連邦政府職員は休職(furlough)扱いとなり給与も一時的に停止されるが、予算が成立した後に遡及して給与が支払われるのが慣例である。
だが、トランプ政権2期目では連邦政府の人員削減が進められており、トランプ大統領は今回の政府閉鎖において職員は休職ではなく解雇される可能性を示唆している。