ニューハンプシャー州予備選の予測〜ヘイリーは逆転勝利を収められるか〜

ニューハンプシャー州予備選の予測〜ヘイリーは逆転勝利を収められるか〜

[現地時間の1月21日(日)に表明されたデサンティスの撤退を反映するため、1月22日に本記事を更新した]

現地時間の2024年1月23日(火)(日本時間の1月24日の午前)にニューハンプシャー州の予備選が開票される。共和党、民主党双方の予備選が実施されるが、ここでは主に共和党の予備選で注目すべき事項、予想と今後の見通しについて解説する。なお、この記事はこちらの大統領候補指名争いに関する解説に目を通してから読むことをお勧めする。

現在、誰が共和党の指名争いに残ってるの?

次の2人が指名争いに残っている。

アイオワ州党員集会で2位だったデサンティスは、1月21日に急に撤退を表明した。

現状の世論調査はどのような感じなの?

最近の世論調査によると、ニューハンプシャー州の予備選ではトランプが15ポイント前後の差でヘイリーをリード

アイオワ州党員集会後、トランプの支持は50%を超えるようになり、勢いが出ている。ヘイリーも伸びているが、差は縮まっていない。

ニューハンプシャー州予備選の開票では、何に注目すればいいの?

ヘイリーが逆転勝利を収められるか、に限る。

極めて保守的なアイオワ州と異なり、ニューハンプシャー州にはヘイリーの支持層である中道派や無党派層が比較的多い。この州ほどヘイリーに適した州はないと言っても大げさではない。

ヘイリーにとって、僅差でありながらもアイオワ州で2位になれなかったのは大きな痛手だった。トランプの勢いを食い止めるためにも、ヘイリーにとってニューハンプシャー州での勝利は必須になりつつある。

ヘイリーにとって鍵となるのは、無党派の有権者がどれほど共和党の予備選に投票するかだ。ニューハンプシャーは、どの党の党員にも登録していない有権者であればどれか1つの党の予備選に投票できる「開いた予備選(open primary)」の制度を採用しており、無党派層による予備選の参加が特に多い州として知られている。同日に民主党の予備選も実施されるが、こちらではバイデン大統領の圧勝が予測され面白みに欠けるので、無党派の多くが共和党の予備選に投票することを選択する可能性が高い。この票が多ければ多いほどヘイリーは助かる。

ニューハンプシャー州の有権者の質はアイオワ州と大きく異なり、現職大統領以外でアイオワ州、ニューハンプシャー州の双方で勝利できた候補は過去にいない。もしトランプがアイオワ州に次いでニューハンプシャー州でも勝利できれば、トランプが共和党内で幅広い支持を得ていることが証明されると言えるだろう。

で、当日はどうなりそうなの?

トランプが10ポイント以上の差をつけてヘイリーに勝利する、がニューハンプシャー州予備選の最も可能性が高いシナリオだ。

そして、トランプの得票率が50%を超えるようなことがあれば、指名争いは実質終わりだというのが下馬評になりそうだ。

もっとも、たとえそうなっても、ヘイリーは次に自分が知事を務めたサウスカロライナ州での予備選が待っているので撤退はしないだろうが。

ニューハンプシャー州予備選後、ヘイリーが指名候補になれる可能性はあるの?

デサンティスの撤退により、ヘイリーは念願の一騎打ちが想定より早く実現できた。ただ、展望は明るくない。

共和党の予備選で勝つためには、保守派の票に食い込めなければならない。アイオワ州では、ヘイリーの支持が中道派・リベラル層、無党派層、トランプ批判者等に留まっており、ニューハンプシャー州でもこれら有権者がヘイリーの主な支持者になることが確実だ。

サウスカロライナ州はニューハンプシャー州よりずっと保守的である。もしニューハンプシャー州で勝利し、2月24日(火)に実施されるサウスカロライナ週の予備選でも勝利するかトランプに僅差で負けるような健闘ができれば、支持層が広がっていることを意味するので、ヘイリーにとって望みは残るかもしれない。

もっとも、(ちょっと古いものの)、サウスカロライナ州の世論調査によると、ヘイリーはトランプに30ポイント以上の差をつけられている。ニューハンプシャー州で相当勢いをつけないと、ヘイリーはサウスカロライナ州で苦戦しそうだ。

民主党のニューハンプシャー州予備選では何に注目すればいいの?

こちらで解説したとおり、ニューハンプシャー州が民主党の方針に反する形で党の予備選を1月23日に実施することにしたため、バイデン大統領はニューハンプシャー州の予備選に出馬しないと表明した。

よって、予備選ではバイデンの名前が投票用紙には載らないが、アメリカの選挙では、列挙されていない候補以外の名前を投票用紙に記入することが可能で、世論調査によると、バイデンは「記入候補」として、フィリップスとウィリアムソンを大幅にリードしている

もしバイデン大統領の得票率が50%を下回るようなことがあれば、バイデンの選挙の弱さが注目され、撤退論が囁かれるようになるかもしれない。

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