現地時間の7月15日(月)から18日(木)までの4日間、共和党の党大会が開催される。ここでは、そもそも党大会では何が起こるのか、来週の党大会では何が注目されているのか、暗殺未遂事件はどのような影響を及ぼすのかを解説していく。
党大会の目的は何なの?
党大会は党の大統領候補を正式に指名するために開催される。
手続き的には、党大会に出席している党大会代表者が大統領候補に投票するのだが、党大会代表者は各州で実施された予備選で選ばれており、投票先は原則として予備選の結果に拘束されていることから、(予備選で過半数を獲得した候補者がいない場合を除いて)投票は形式的なものとなる。
ちなみに、1950年代までは政界のドンが党大会代表者の大半を選んでおり、党大会代表者はどの大統領候補にも自由に投票できたため、なかなか過半数を獲得できる大統領候補が現れず、何度も投票が繰り返される、いわゆるBrokered Convention(割れた党大会)現象が起こることがたまにあった。
党大会では何が起こるの?
大統領候補の指名がメインイベントだが、党の綱領も党大会代表者によって承認される。
また、副大統領候補が事前に発表されていない場合、誰が副大統領候補になるのかが最大の関心事項となる。
さらには、1960年代以降、党大会がテレビ放送されるようになり、参加者による演説も重視されるようになった。演説者は次のような人たちである。
- 大統領指名候補自身
- 大統領指名候補の家族
- 予備選で敗退した元大統領候補
- 副大統領指名候補
- 若手ホープの政治家
- 有名人の支援者
来週の共和党の党大会では何が注目されているの?
トランプは最近の大統領選では珍しく事前に副大統領候補を発表しないようなので、彼が誰を副大統領候補に指名するのかが最も注目されている。
また、数日前まで、今年の予備選で最後までトランプと戦い続けたニッキー・ヘイリー(Nikki Haley)が党大会に招待されていないことが物議を醸していたが、直前になって彼女も党大会に招待されたので、彼女の演説も一定の注目を浴びそうだ。
そして、もちろん、トランプ本人の演説が注目される。
大統領候補の指名自体は、トランプが共和党の予備選で圧勝したので、まったく関心を引かないだろう。
トランプ暗殺未遂事件は党大会にどのような影響を及ぼすの?
通常の党大会は祭のように盛り上がるが、暗殺未遂事件のような生命に関係する事件が起こると、政治的イベントは控えめな空気になるのが常識である。だがトランプの行動は常識では判断できず、彼がこの事件を使って支援者を煽る可能性も否定できない。トランプが暗殺未遂事件をどのように扱うかも一つの注目事項である。
過去に党大会前に暗殺未遂があったことはあるの?
最も近い事例は、1968年の大統領選で有力候補だったロバート・ケネディ(Robert Kennedy)が予備選の真っ最中に暗殺された事件だろう。その後開催された民主党の党大会は荒れに荒れたが、それはケネディの暗殺というより、ベトナム戦争の賛成派と反対派の激突によるものだったので、今回とは事情がだいぶ異なる。
党大会にはどのような効果が期待されるの?
一般的に、党大会で正式に大統領候補の指名を受けた候補は、党大会開催後の世論調査で支持率が上昇する傾向にある。これが「コンベンション・バウンス(Convention Bounce)」と呼ばれる現象で、支持率の弾みが11月の本選挙まで継続する場合もあれば、長続きしない場合もある。
今回は党大会直前にトランプ暗殺未遂事件があったことから、通常より不確定要素が多い。(党大会は抑えられた雰囲気になるのか。トランプは暗殺未遂事件にどう言及するのか。トランプは同情を集めるのか。等々)
暗殺未遂事件は前代未聞の出来事なので、党大会後、トランプの支持率がどれほど上昇するのかが特に注目されそうだ。