開票の進み方

開票の進み方

アメリカの開票の進み方には特徴がある。その特徴を理解していると当確も予測しやすくなるので、ここでは開票の進み方を解説して行く。

開票について覚えておく必要があることは?

選挙の仕組みが州ごとに異なるため、開票のスピードも州ごとに異なる。たとえば、投票時間は州が定めるので、同じタイムゾーンにある州でも投票終了時間が異なる。

また、どの州も郵便による投票を認めているが、郵便で届いた投票用紙は”受理”と”集計”する必要があり、それらを開始できるタイミングは州によって異なる。

“受理”とは、郵便で届いた投票用紙を開封し有権者登録名簿に載っている署名と投票用紙に記載されている署名が一致していることを確認する作業を指している。大半の州はこれを投票日前に開始することを認めているが、一部の州では投票日まで待たなければならない(だが、投票終了前でもよい)。

“集計”は受理された投票用紙を数える作業である。大半の州では投票日当日まで集計を始めてはならないとしているが(ただし、多くの州では投票終了前でもよい)、一部の州では投票日前から集計することを認めている。

どの州にも共通している点はあるの?

開票は人口が少ない農村部が早くて、人口が多い都市部が遅い傾向がある。

共和党は農村部で強く、民主党は都市部で強いので、一般論として、開票当初は共和党の票が集計され、開票の終盤で民主党の票が集計される。したがって、接戦の選挙では、ずっと共和党がリードしていたところを民主党が追い上げる、というパターンが多い。

郵便の票は開票にどう影響を与えるの?

郵便による期日前投票の比率が年々高まっている。8つの州では郵便での投票を促すため、すべての有権者に投票用紙を送付している。

上述したとおり、大半の州では郵便で届いた票を投票日まで集計してはならないことになっているものの、フロリダ州等の一部の州では、事前に集計してもよいことになっている。こういった州でも集計の報告は投票が終了するまで待たなくてはならないが、反対に、投票終了後であれば公表できるので、投票終了後直ぐに郵便で投票された数万票の集計結果が公表されることがある。

特にコロナ以降、共和党の支持者は当日投票所で投票する傾向にあり、民主党の支持者は郵便で投票する傾向にある。したがって、郵便の票を事前に集計できる州では、開票が進むにつれて共和党の票が増えると考えられる。

なお、フロリダ州は法律で投票日までに郵便投票の集計を終えていることを求めているため、特に開票が早いことで有名だ。さらに、フロリダ州は2つのタイムゾーンに跨っており、開票の公表はタイムゾーンごとに行ってよいことになっているので、大半の人口が住んでいて最も東のタイムゾーンの開票は西地域の人がまた投票している最中にさっさと公表されていく。

投票日に、当初はフロリダ州の開票が特に注目されるのはこのスピードのためである。

“開票率”の定義は?

アメリカには2つの”開票率”がある。

1つは、”開票作業を終えた投票所の比率(% of precincts reporting)”であり、これが各州の選挙委員会が報告する”正式な開票率”である。この開票率は投票所で投票された票の集計のみなので、年々郵便による投票が増加している中、有意性が落ちている。

より有意な”開票率”は、2つ目の”概算した投票総数のうち開票された票の比率(% of estimated vote)”である。テレビの開票速報では通常こちらの開票率が活用されている。

アメリカでは、開票率も投票率と同じく、選挙委員会の正式なデータではないデータを頼ったほうが良いという奇妙な現象がある。

開票が進むにつれて、「傾向」はどのように判明するの?

アメリカは6つのタイムゾーンがあり、州ごとに投票時間が異なるので、開票は東から西へと徐々に進んで行く。したがって、西の州の最終結果が分かるのには時間がかかるが、一般的に、東の開票で見られる傾向は全国的にも見られると言える。

よって、たとえばアメリカ南部にあるフロリダ州の農村部で共和党の票が伸びなければ、アメリカ中西部にあるオハイオ州の農村部でも同じく共和党の票が伸び悩むことが想定され、全国的に共和党が苦戦することが予測できる。

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