トランプ大統領が掲げる「選挙の公正性」〜州政府との対立から読み解くアメリカの選挙制度〜

2026年7月16日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領は11月の中間選挙に先立ち、「選挙の公正性(election integrity)」を政権の最重要課題の一つとして位置付ける全米向けの演説を行った。しかし、アメリカでは大統領選挙や連邦議会選挙であっても実際に選挙を運営するのは州政府であることから、大統領が選挙を完全に管理することはできない。本稿では、トランプ大統領が「選挙の公正性」を前面に打ち出した背景を出発点として、まずアメリカの選挙における州政府と連邦政府の役割分担を整理する。次に、有権者登録名簿をめぐるトランプ政権と州政府の対立を説明した上で、今回の演説と中間選挙との関係、そして日本への影響を解説する。

民主党版MAGAは誕生するのか〜予備選が映し出した「反主流」の波〜

2026年6月に実施されたニューヨーク州とコロラド州の民主党の予備選で、民主社会主義を掲げる候補者が民主党の現職議員を相次いで破ったことで、「民主党が左傾化しているのではないか」という議論が起こっている。しかしこれは、民主党内の思想的変化というよりも、2016年大統領選以来続いてきた民主党支持者の党執行部に対する不満が、2024年大統領選での敗北によって顕在化したものと考えられる。ここでは、ニューヨーク州とコロラド州での選挙の結果を手掛かりに、2016年から続く民主党内の対立を解説し、これが民主党版のMAGA運動につながるかを検討していく。

注目が高まるメイン州上院選〜民主党がスキャンダル候補を選んだ波紋〜

2026年の中間選挙において民主党が連邦上院で多数派を奪還するためには、メイン州で民主党が共和党から議席を奪うことがほぼ不可欠である。しかし、その重要なメイン州で、前回も厳しい選挙を勝ち抜いた共和党現職のスーザン・コリンズに対する対立候補として、民主党の有権者は複数のスキャンダルを抱えるグラハム・プラトナーを圧倒的多数で選んだ。ここでは、なぜ民主党有権者は連邦上院の行方の鍵を握る州で数々のスキャンダルに見舞われている候補を選んだのか、そしてプラトナーを巡る問題は民主党の多数派奪還にどのような影響を及ぼすのかを解説する。

不人気でも共和党を支配し続けるトランプ〜5月の4つの予備選で示された圧倒的影響力〜

2026年5月、11月の中間選挙に先立って行われた4つの予備選において現職が相次いで負け、共和党内ではドナルド・トランプ大統領がいまだに圧倒的な影響力を持っていることが示された。なぜアメリカ全土では不人気なトランプ大統領が共和党予備選では影響力を維持できているのかを解説し、各州の選挙結果を分析した上で、11月の中間選挙と日本企業への影響を説明する。

連邦最高裁が「黒人多数派選挙区」に待った〜アメリカ政治を揺るがす新たな「区割り戦争」へ〜

4月29日(現地時間)、アメリカ連邦最高裁は、連邦下院における選挙区の区割りにおいて人種を考慮できるという従来の枠組みを変える判決を下した。この判決は既に11月の中間選挙の構図に影響を及ぼしており、中長期的にアメリカ政治の構造を大きく変える可能性がある。ここでは、今回の判決の背景を整理したうえで、なぜこの判決が特に南部に大きな影響を及ぼすのかを見ていく。さらに、去年夏にドナルド・トランプ大統領が引き起こした「区割り戦争」が、今回の最高裁判決によってさらに激化している状況を踏まえ、中間選挙への影響と今後の区割りの行方を考察する。最後に、日本企業への影響についても解説していく。

テキサス州上院予備選の結果〜共和党現職が決選投票に追い込まれ、民主党に好機〜

2026年3月3日(現地時間)、テキサス州で連邦上院議員選挙の予備選が開票された。共和党の牙城であるテキサス州の上院選がなぜ注目されているのかを整理した上で、民主党では比較的穏健な候補が初回投票で勝利し、共和党では現職が決選投票に追い込まれた結果を分析する。さらに、共和党の決選投票に向けたドナルド・トランプ大統領の動きと本選挙の見通しを確認し、この選挙が日本企業にとって持つ意味を解説していく。

2026年連邦上院選の展望〜民主党の険しい道のり〜

2026年11月、アメリカでは連邦下院の全議席と連邦上院の1/3の議席が改選される中間選挙が行われる。ここでは、なぜドナルド・トランプの支持率が低迷しているにもかかわらず、民主党が上院で過半数を奪還するのが難しいのかを、注目される州の分析を交えて解説していく。

2025年下院補選が示す“赤信号”〜来年の中間選挙はトランプ大統領と共和党の大敗が既定路線?〜

2025年、アメリカでは5つの連邦下院補選選挙が行われた。すべての補選で共和党が苦戦したこと、その理由がドナルド・トランプ大統領の不人気にあること、そしてこれら選挙の結果が来年の中間選挙での共和党の大敗を示唆していることなどについて解説していく。

就任100日を迎えたトランプの支持率〜下落が続けば今後の政権運営に悪影響?〜

ドナルド・トランプ大統領は現地時間の4月30日(水)に2期目就任の100日目を迎えた。通常の政権より初動が活発的なトランプ大統領の支持率に関して、全体的な支持率と内訳に加え、今後の政権運営への影響について解説していく。

データで見るトランプの勝利〜勝利はトランプ個人のものであり共和党のものではあらず〜

大統領選では共和党のドナルド・トランプが勝利したが、これはトランプの個人的な勝利であり党としての勝利ではなかった。そう言い切れる理由について、同時に実施された連邦上院選の結果をベースに解説していく。