ドナルド・トランプ大統領は現地時間の4月30日(水)に2期目就任の100日目を迎えた。通常の政権より初動が活発的なトランプ大統領の支持率に関して、全体的な支持率と内訳に加え、今後の政権運営への影響について解説していく。なお、ここでは特記ない限り、「支持率」とはリアル・クリア・ポリティックス(Real Clear Politics)が算定している多数の世論調査の平均値を意味する。
トランプの支持率の背景は?
トランプが10年前に台頭して以来、彼の支持率には2つの顕著な傾向がある。
1つ目は、アメリカ国民の好き嫌いが極端に分かれていること。支持する人は熱狂的なファンで、支持しない人は嫌悪を感じている。
2つ目は、支持者が一定数いること。1期目では、支持率が40%を下回ることはまずなかった。
結果、トランプの支持率は40%台の前半の狭い幅で行ったり来たりする傾向がある。
2024年11月の大統領選で再選したトランプは2025年1月の就任時に50%前後の支持率があり、これは彼にとって歴史的に高い水準であった。4年前に離任した時の支持率は40%弱だったことを踏まえると、4年間でトランプのイメージがだいぶ回復していたことが分かる。
就任してからのトランプ大統領は歴史的な恩赦を多く与え、連邦政府の支出凍結を試み、大規模な人員削減を実施し、ニューヨーク市長の起訴を取り下げ、大統領令を通じて世界中からの輸入に関税を課し、不法移民を国外へ大量追放したりと、まだ3ヶ月しか経っていないものの、国民が彼を評価する材料は十分にあると言える。
現在のトランプの支持率は?
5月7日時点のトランプの支持率は45.2%、不支持率は51.1%で、就任時の支持率50.5%と不支持率44.3%から悪化している。
1点注意が必要だ。アメリカでは多数の会社が世論調査を実施しており、世論調査の質にばらつきがある。リアル・クリア・ポリティックスは世論調査の資質を評価しており、評価が高い会社による世論調査の一部ではトランプの支持率が不支持率を上回っている。
争点ごとの支持率は?
トランプは不法移民対策が強みであり、経済政策(具体的にはインフレへの対応)が期待されて先の大統領選で勝利した。
移民政策は現在でもトランプの強みだが、トランプの移民対策に関する支持率は47.7%、不支持率は49.4%と就任時から支持率・不支持率が逆転している。不法移民に対する取り締まりを支持する人の間でも、強制送還が人権を無視しているとの批判や合法な移民まで送還されているのではとの疑惑が響いていると思われる。
経済政策に関するトランプの支持率は41.7%、不支持率は55.1%で、不支持率が支持率を大きく上回っている。インフレ対策に関してはもっと悪く、支持率が38.3%で不支持率が59.4%。トランプの関税は値上げを起こし経済を悪化させるというのが一般的な評価で、これが経済・インフレ面での支持率の暴落につながっていると考えられる。
支持層別のトランプの支持率は?
リアル・クリア・ポリティックスは世論調査の平均を共和党支持者、民主党支持者、無党派層で内訳していないが、世論調査ごとに見ていけば、トランプは共和党支持者の間で根強く支持され、民主党支持者の間でまったく支持されていない状況が変わらず、全体的な支持率の下落は無党派層での支持の暴落に起因していることが分かる。
たとえば、エコノミスト・YouGovによる世論調査(4月25日〜4月28日実施)におけるトランプの全体的と支持層別の支持率・不支持率は次の通りである。
| 支持率 | 不支持率 | |
| 全体的 | 43% | 54% |
| 共和党支持者 | 87% | 12% |
| 民主党支持者 | 5% | 94% |
| 無党派 | 31% | 58% |
また、トランプの支持率が不支持率を上回るInsiderAdvantage/Trafalgarによる世論調査(4月30日〜5月1日実施)においては次の通りである。
| 支持率 | 不支持率 | |
| 全体的 | 46% | 44% |
| 共和党支持者 | 79% | 11% |
| 民主党支持者 | 16% | 73% |
| 無党派 | 32% | 56% |
トランプの支持率が今後の政権運営に与える影響は?
このままいけば、2026年の中間選挙で共和党が連邦下院での過半数を失うことは確実だ。
大統領が所属する党にとって、中間選挙の結果は大統領支持率と綿密に連動する。大統領の支持率は就任時から中間選挙まで下落し続けるのが一般的であることから、選挙まで1年半もある今、すでに支持率が45%まで落ち込んでいることに関して共和党内では危機感が高まっている。
現在2期目であるトランプ大統領にとって次の中間選挙は最後の大型選挙となるが、性格的にトランプは自分の選挙以外の結果を気にしないかもしれない。
だか、共和党所属の議員にとっては他人事ではない。連邦上院では今度改選を迎える議員が共和党牙城の州から選出されていることから、共和党が過半数を失う可能性は低い。だが、連邦下院では共和党は3議席の過半数しか有していないため、トランプの支持率が下落し続けると、選挙を視野に入れた議員がトランプから距離を置くことが増え、トランプの求心力が弱まる可能性が高まる。これは、常に分裂の火種を抱えている下院の共和党にとって深刻な問題になりかねない。
根強い支持者がいるトランプの支持率がどれほどまで落ちるのか、中間選挙だけでなく今後の政権運営の面からも注目される。