スキャンダル候補の撤退で民主党に勝機〜メイン州上院選が左右する多数派奪還〜

2026年11月の中間選挙で民主党が連邦上院の多数派を奪還するためには、共和党現職のスーザン・コリンズ(Susan Collins)が議席を守るメイン州で勝利することが極めて重要である。6月の民主党予備選では、数々のスキャンダルを抱えていたグラハム・プラトナー(Graham Platner)が勝利した。しかし、その後、新たなレイプ疑惑が浮上したことを受けてプラトナーが撤退したため、民主党は後任候補として元メイン州上院議長のトロイ・ジャクソン(Troy Jackson)を擁立した。ここでは、民主党がなぜジャクソンを後任候補に選んだのか、候補交代によってメイン州の連邦上院選の構図がどのように変化したのかを検討したうえで、民主党による上院多数派奪還の可能性や、日本企業を取り巻くアメリカの政治環境に及ぼし得る影響についても解説する。

トランプ大統領が掲げる「選挙の公正性」〜州政府との対立から読み解くアメリカの選挙制度〜

2026年7月16日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領は11月の中間選挙に先立ち、「選挙の公正性(election integrity)」を政権の最重要課題の一つとして位置付ける全米向けの演説を行った。しかし、アメリカでは大統領選挙や連邦議会選挙であっても実際に選挙を運営するのは州政府であることから、大統領が選挙を完全に管理することはできない。本稿では、トランプ大統領が「選挙の公正性」を前面に打ち出した背景を出発点として、まずアメリカの選挙における州政府と連邦政府の役割分担を整理する。次に、有権者登録名簿をめぐるトランプ政権と州政府の対立を説明した上で、今回の演説と中間選挙との関係、そして日本への影響を解説する。

高齢政治家が多いアメリカ〜その制度的背景と求められる健康情報の透明性〜

アメリカの政界では現在、ミッチ・マコネル(Mitch McConnell)連邦上院議員の健康状態をめぐり、議論が起きている。連邦上院の共和党トップを18年間務めたマコネルは約1か月前に入院したものの、健康状態に関する具体的な情報が公表されていない。2024年の大統領選で当時のジョウ・バイデン大統領が健康への懸念で撤退に追い込まれたのは記憶に新しく、現在、連邦議会では20人を超える議員が80歳以上である。本稿では、アメリカでは連邦議員が長く公職にとどまり続けられる制度的な理由を整理したうえで、制度改革が難しい背景と、本質的な課題が健康情報の透明性にある理由を解説し、日本にとってどのような意味を持つのかを考える。

連邦最高裁が「黒人多数派選挙区」に待った〜アメリカ政治を揺るがす新たな「区割り戦争」へ〜

4月29日(現地時間)、アメリカ連邦最高裁は、連邦下院における選挙区の区割りにおいて人種を考慮できるという従来の枠組みを変える判決を下した。この判決は既に11月の中間選挙の構図に影響を及ぼしており、中長期的にアメリカ政治の構造を大きく変える可能性がある。ここでは、今回の判決の背景を整理したうえで、なぜこの判決が特に南部に大きな影響を及ぼすのかを見ていく。さらに、去年夏にドナルド・トランプ大統領が引き起こした「区割り戦争」が、今回の最高裁判決によってさらに激化している状況を踏まえ、中間選挙への影響と今後の区割りの行方を考察する。最後に、日本企業への影響についても解説していく。

有力候補の撤退が生んだ連鎖〜カリフォルニア知事選と下院辞任ドミノの全体像〜

2026年11月に実施されるカリフォルニア州知事選では、民主党の有力候補だったエリック・スウォルウェル(Eric Swalwell)連邦下院議員が女性をめぐる疑惑で撤退に追い込まれ、その影響は複数の連邦下院議員の辞任連鎖につながった。知事選の仕組みと情勢を整理した上で、スウォルウェルの撤退の背景と影響を説明する。その上で、なぜこの問題が連邦下院議員の辞任ドミノにつながったのか、さらに日本企業への影響について解説する。

テキサス州上院予備選の結果〜共和党現職が決選投票に追い込まれ、民主党に好機〜

2026年3月3日(現地時間)、テキサス州で連邦上院議員選挙の予備選が開票された。共和党の牙城であるテキサス州の上院選がなぜ注目されているのかを整理した上で、民主党では比較的穏健な候補が初回投票で勝利し、共和党では現職が決選投票に追い込まれた結果を分析する。さらに、共和党の決選投票に向けたドナルド・トランプ大統領の動きと本選挙の見通しを確認し、この選挙が日本企業にとって持つ意味を解説していく。

2026年連邦上院選の展望〜民主党の険しい道のり〜

2026年11月、アメリカでは連邦下院の全議席と連邦上院の1/3の議席が改選される中間選挙が行われる。ここでは、なぜドナルド・トランプの支持率が低迷しているにもかかわらず、民主党が上院で過半数を奪還するのが難しいのかを、注目される州の分析を交えて解説していく。

2025年下院補選が示す“赤信号”〜来年の中間選挙はトランプ大統領と共和党の大敗が既定路線?〜

2025年、アメリカでは5つの連邦下院補選選挙が行われた。すべての補選で共和党が苦戦したこと、その理由がドナルド・トランプ大統領の不人気にあること、そしてこれら選挙の結果が来年の中間選挙での共和党の大敗を示唆していることなどについて解説していく。

トランプが仕掛けた連邦下院選挙区割り戦争〜テキサス州の民主党州議員は他州に脱出して抵抗〜

テキサス州では、ドナルド・トランプ大統領の求めに応じて共和党が提案した連邦下院選挙区の区割り案に対し、民主党州議員が反発し他州に脱出した。ここでは、トランプがこの騒動を起こした背景、州議会が連邦議員の選挙区割りに関与する理由、民主党議員が他州に脱出しなければならなかった事情、そして区割り戦争が全国に広がっている状況などを解説していく。

トランプによる国連大使指名の撤回~背景にあるのは政権と下院の運営の厳しさ~

ドナルド・トランプ大統領は現地時間の3月27日(木)、エリス・ステファニク下院議員(Elise Stefanik)の国連大使指名を撤回すると発表した。これがなぜ異例の出来事で、なぜトランプ政権の厳しい運営を示しているかについて解説していく。